つくばエクスプレスの延伸先候補、土浦で決定:実現すれば物流施設開発エリアに影響も

つくばエクスプレスの延伸先候補、土浦で決定:実現すれば物流施設開発エリアに影響も

県知事が発表、50年ごろの実現目指す

茨城県の大井川和彦知事は6月23日の記者会見で、東京都中央区秋葉原と茨城県つくば市を結ぶ「つくばエクスプレス」(TX)の延伸先に関し、同県土浦市を候補とする方針を決めたと発表した。JR常磐線の土浦駅と接続させることを想定している。

延伸先の候補は土浦、筑波山、水戸、茨城空港の4案が挙がっていた。県の第三者委員会は今年3月、需要や採算性、建設コストなどを考慮した結果、土浦への延伸が妥当と大井川知事に提言していた。

県民を対象に今年5月、意見を公募した結果、土浦延伸を望む声が多かったことも決定の背景となった。県は2050年ごろの実現を目指す。実現には国土交通省の審議会での審議などを経る必要がある。

大井川知事は会見で「土浦の延伸が実現し、TXの延伸が土浦駅まで完成した後、空港の着陸制限の状況変化といった総合的な状況の変化などを見極めた上で、あらためて茨城空港までの延伸について議論していきたい」と述べ、将来の茨城空港までの再延伸に含みを持たせた。

TXは2005年に開業。都心とつくば市を最速約45分で結ぶことが評価され、沿線のつくば市や守谷市、流山市などで人口が増加。デベロッパーが茨城県内で物流施設開発を活発化させる一因になっているとみられる。

土浦まで延伸となれば、物流施設の開発エリアがさらに拡大する可能性もある。ただ、事業費は現状、県などが概算で約1400億円に上ると予想している一方、少子高齢化の中では土浦まで延伸しても営業赤字が見込まれるなど収益面では厳しい状況が想定される。また、TXの運営会社は茨城県のほか、東京都や埼玉県、千葉県なども出資しており、茨城県以外の沿線自治体などの理解をどう得ていくかも課題だ。

(藤原秀行)

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