IMOが対応強化、環境低負荷燃料の使用なども目標設定
国際海事機関(IMO)は7月3日~7日、英国のロンドンで開催した海洋環境保護委員会(MEPC 80)で、2018年に採択した海運領域の温室効果ガス(GHG)排出削減目標「IMO GHG削減戦略」を改定し、「2050年頃までに排出ゼロ」へ強化することを決めた。
国土交通省が7月11日、合意内容の概要を公表した。
従来の「IMO GHG削減戦略」は「2050年までに50%排出削減」、「今世紀中早期の排出ゼロ」が柱だった。世界的に様々な領域で脱炭素の取り組みが加速しているのを受け、IMOとしても対応を強化するため、2021年に戦略改定の見直し作業を開始していた。
国交省は、2021年10月に「2050年までに国際海運からのGHG排出ゼロを目指す」方針を公表したのを踏まえ「日本の目標に沿った形で、IMOにおける世界共通の目標に合意した」との見方を示した。
新たな「2023 IMO GHG削減戦略」は、ゼロエミッション燃料などの使用割合に関する目標で新たに合意したほか、2050年頃のGHG排出ゼロに向けた削減目安も掲げることで一致した。
具体的には、
〇 IMOで策定する対策(ルール)により達成を目指す目標
◇2050年頃までに、GHG排出ゼロ
◇2030年までに、ゼロエミッション燃料などの使用割合を5~10%
◇2030年までに、CO2排出(輸送量当たり)を40%削減(2008年比)
〇 GHG排出ゼロ達成のための今後の削減目安
・2030年までに、GHG排出を20~30%削減(2008年比)
・2040年までに、GHG排出を70~80%削減(2008年比)
――となっている。
今回合意した目標を踏まえ、2024年4月に開催予定の次回MEPC 81会合以降、国際海運のGHG排出削減をさらに進めるための具体的な対策の立案作業が本格化する見通し。
(藤原秀行)