三菱倉庫、AWSと連携し国際輸送時の精緻なCO2排出量算定機能を開発

三菱倉庫、AWSと連携し国際輸送時の精緻なCO2排出量算定機能を開発

初のメディア懇談会で説明、デジタルフォワーディング構築目指す

三菱倉庫は11月15日、東京都内の本社で初のメディア懇談会を開催した。

同社の斉藤秀親社長は「かつて物流やロジスティクスは一般の方から縁遠い存在だったが、最近は非常に大きなキーワードになっているのではないかと感じている。今や物流革命は多くの企業にとって非常に重要な経営改革であるとともに、国民あるいは社会に対しての問題、課題となっている」と指摘。

倉庫運営など自社の物流サービスを通じて、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」への対応など、社会的価値をさらに広く創出していきたいとの決意を示した。

同社の木村宗徳取締役常務執行役員は、国際輸送事業部門の取り組みを説明した中で、輸送コストの算定や貨物の追跡などが可能なデジタルフォワーディングサービスの開発を進めていることに言及。その一環として、輸送時のCO2排出量を精緻に算出できる新機能「Emission Monitoring/Cargo Route Finder(エミッション・モニタリング/カーゴ・ルート・ファインダー)」を開発したことを明らかにした。

木村氏は一部の顧客を対象に、試験的に機能の提供を既に開始しており、近日中に正式公開したいとの考えを示した。


あいさつする斉藤社長

斉藤社長は同社が今年で設立137年を迎えたことに言及し、「長く会社を続けてこられたのは、それぞれの時代の要請に応えた価値を提供してきたからだと考えている」と分析。今後も顧客の脱炭素支援など、ニーズを踏まえたサービスの展開に努める姿勢をアピールした。

木村氏は、海外売上高比率が2013年度の9.8%(195億円)から、22年度は21.5%(647億円)へ2倍強に拡大したことをアピール。海外はASEAN(東南アジア諸国連合)、中国、北米、欧州の4エリアに分け、各地域の特性に応じた戦略を実施しており、特にインドネシアやベトナムを軸としたASEANを主要エリアと位置付けていることを説明した。

さらに、需要の伸びが見込める高機能複合材や半導体デバイス製品製造用材料、サステナブル素材といった「新素材」を重点分野の1つに位置付け、国際輸送事業の強化を図っていることを明らかにした。

今後の展開として、米アマゾンのクラウドサービス部門AWS(アマゾン・ウェブ・サービシズ)をパートナーとして、フォワーディング関連業務をデジタル化した「デジタルプラットフォーム」の構築に取り組んでいると報告。

デジタルプラットフォーム上では見積もりから予約など一連の国際輸送関連サービスをワンストップで提供できるようにすることを想定。その一環として新機能も提供していくと語った。

新機能はオンライン上で複数の輸送モードにまたがる国際輸送全体の温室効果ガス排出量を割り出せるほか、最適な輸送ルート検索にも対応しているという。

木村氏は「非常に手軽に、輸送ルートの検索やCO2排出量の可視化が可能になる」と語り、AWSと連携した成果を強調。2024年問題への対応にも生かせるとの見方を示した。


事業戦略などを説明する木村氏

(藤原秀行)

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