アプリ開発、ベテラン社員のノウハウ継承図る
日本航空（JAL）と量子コンピューターのソフトウェア開発を手掛けるエー・スター・クォンタムは7月31日、国内の航空業界で初めて、量子コンピューティング技術などを活用した運航整備計画の最適化アプリケーション開発に着手すると発表した。
量子コンピューティング技術は、量子力学的な現象を用いて従来のコンピューターでは現実的な時間や規模で解けなかった問題を解決できるよう期待されている先進技術。JALグループの航空機整備を担うJALエンジニアリングが開発を推進する。
航空機の運航整備計画は機材の使用状況、整備士の数、整備項目の期限、格納庫の収容数、整備実施空港、整備器材数など、膨大な制約条件を加味して策定する必要がある。現在は、長年の経験を持つベテラン社員が莫大な労力を費やして策定しており、運航ダイヤの急な変更に合わせての計画最適化は負荷が大きく、従来のコンピューターでは制約条件に適合した計画を短時間で作成することは現実的ではないのが課題だった。
JALとエー・スター・クォンタムは問題解決のため、2021年1月からエー・スター・クォンタムが持つ量子コンピューティング技術や数理最適化を応用した実証実験を、制約条件を増やしながら段階的に進めてきた。実用化のめどが付いたため、開発に踏み切る。
開発するアプリケーションにより、ベテラン社員のノウハウを電子化・継承しながら、最適な計画を自動的かつ短時間に策定することが可能になると見込む。JALとエー・スター・クォンタムは計画を最適化することにより、品質向上などの新たな価値創造につなげたい考えだ。
（藤原秀行）※いずれもJALとエー・スター・クォンタム提供
