低金利下に超長期で資金確保、不動産開発に充当図る
※本日午前6時に配信した記事の内容を差し替えました
三菱地所が国内企業で初めて償還期間が50年の普通社債を発行する準備を進めていることが、このほど明らかになった。主幹事を務める野村証券が4月3日に発表した。発行規模は100億円程度を想定しており、発行条件は早ければ同12日に決定する予定。利率は市場動向などを見極めながら判断する。
世界的に低金利が続き、資金の運用が難しい中、少しでも高い利回りを求める機関投資家らのニーズに応える。オフィスビルや物流施設などの不動産開発は総じて長期にわたる上、市況も経済環境の影響を受けて変動が大きいため、三菱地所は超長期債を活用して資金を十分確保しておきたい考えだ。
マイナス金利下でより低廉な水準で起債が可能になっていることも同社の背中を押している。同社は「ファイナンスリスクの分散などが目的。日本初の超長期債を手掛けることで当社の高いクレジット(信用力)の証明にもなると期待している」と説明している。
同社は2016~18年にも40年債を計3回、総額400億円発行した実績がある。その際の利率はそれぞれ0・789%、1・402%、1・313%だった。国内企業では他にJR東日本やJR西日本などが40年債を手掛けてきた。
海外ではメキシコやアイスランド、アルゼンチンが100年債を、ベルギー、フランス、スペイン、イタリア、中国、メキシコ、アルゼンチンなどが50年債を発行しており、日本の国債は40年が最長。
(藤原秀行)