JX石油開発、商船三井、大阪ガスなど参加、専用船実用化図る
JX石油開発、商船三井、大阪ガスとオーストラリアの研究機関Future Energy Exports CRC(FEnEx CRC)、低炭素化技術の投資機関Low Emission Technology Australia(LETA)の5者は8月23日、低温・低圧下の液化CO2の大量輸送に関する技術実証と、実現可能性の検証を行うための技術開発プロジェクト契約を締結したと発表した。
プロジェクトの実験・検証・検討はFEnEx CRC、西オーストラリア大学、カーティン大学、ソウル国立大学、洋上でCO2を回収・貯留する技術を手掛けるオーストラリアのdeepC Storeが実施する。
プロジェクトでは、ラボスケール(実験室レベルでの小規模検証)の実証設備(圧力容器・気化設備など)を用いて、様々な操業条件やCO2以外の混合物質の含有条件による液化CO2の状態変化と気化への影響を実験。その結果をFEnEx CRCが開発を進める液化CO2の状態変化と気化に関する設計計算モデルに反映させるとともに、既存の市販ソフトウェアの設計計算に基づく予測値を検証する。
液化CO2輸送船の実用化に際し、現在は主に中温・中圧(約-26℃、18bar)仕様での検討が進められているが、タンクの大型化が難しいという課題を抱えている。5者は低温・低圧(約-49℃、7bar)仕様を採用することでタンクの大型化が実現し、タンク容量当たりの輸送船建造費や輸送コストを大幅に削減することにつながると見込む。
一方、低温・低圧条件下の液化CO2輸送実績はいまだないため、操業上のリスクを整理し、実現への確度を高める必要がある。プロジェクトはまず、低温・低圧仕様の大型液化CO2輸送船の実用化に向けた技術成熟度の向上に取り組み、将来の低温・低圧での安全かつ高効率な液化CO2大量輸送技術の開発・実証を推進。
CO2排出削減が困難な産業から回収されたCO2を液化・船舶輸送、遠方でのCO2有効利用やCO2地中貯留を通して、アジア太平洋地域のカーボンニュートラル実現への貢献を図る。
(藤原秀行)