コンベア利用したコンテナ搬送も実施
近畿・北陸・東海エリアを地盤とする食品スーパーの平和堂は9月6日、物流拠点「平和堂多賀流通センター」(滋賀県多賀町)敷地内に、旧デリカセンターに代わり新しい「平和堂多賀デリカセンター」を建設したと発表した。施設運営は平和堂グループのベストーネが担っている。
新デリカセンター南側
1991年に建設した旧デリカセンターは開設から32年が経過し、設備の老朽化や店舗数増加による供給対応のほか、生産性の改善や新商品の開発・製造などの課題を抱えていた。
新デリカセンターは「商品にやさしい」「環境にやさしい」「人にやさしい」の3つのコンセプトの下、商品開発力・生産能力・供給店舗拡大への対応や、徹底した衛生管理と最新の機器による味・品質・鮮度の向上、資源リサイクルを考えた環境への取り組み、働きやすい環境整備に注力している。
旧デリカセンターと比較して、規模(延床面積)は約2.3倍、生産数量は2024年が約2倍(2019年比)、10年後の2033年には約2.4倍の数量を計画している。
新デリカセンターの稼働により、これまで供給していた米飯や総菜の品質を向上させるとともに、新商品の開発を加速。新規の取り組みとして、カットパインやカットキャベツ、ベーカリーに取り組んでいる。
また、3つのコンセプトのうち「人にやさしい」に基づいた施策としてAGV(無人搬送ロボット)を採用し、生産エリアから物流エリアまで商品を自動で運ぶ。バッテリーの充電や、搬送ラインへの復帰は全てAGVが自動で実施。商品を入れるコンテナも天井下のコンベアで値付エリアまで輸送する。
上下空間でAGVとコンベアを利用したコンテナ搬送システムを「ハイブリッド 型コンテナ搬送システム」と呼んでおり、平和堂はコンテナ自動搬送化やAGV導入はスーパーのデリカセンターで初めてと説明している。
AGVが商品を搬送
高温になる加熱室は、外気を導入し循環させて温度上昇を抑制する。盛付室は冷気がゆっくり降りて寒さを感じない空調(ソックダクト)を採用している。その他、最新の機器を導入することで従業員の負担を減らし生産性向上やコスト削減につなげるなど、DXを推進し省人化を図る。
館内は明るく開放的にし、事務所や休憩エリアは衛生的なノンスリッパ歩行を採用。ナチュラルに統一された休憩エリアには、眺望のあるカウンター席やリラックスチェアを完備。生産エリアの働きやすさだけでなく施設全体を通して、全ての従業員にとって働きがいがのあるセンターとなるよう腐心している。
<新デリカセンターの概要>
■施設名:平和堂多賀デリカセンター
■施設運営:株式会社ベストーネ(株式会社平和堂100%子会社)
■所在地:滋賀県犬上郡多賀町中川原字大久保491番地3(平和堂多賀流通センターA棟内)
■建物規模(物流エリア含む):敷地面積 64,717㎡、建築面積 10,392㎡、
延床面積約 16,391㎡(うちデリカセンターエリア 11,732㎡)
■建物構造:鉄骨造2階建て(1F:原料入荷エリア、炊飯・米飯・惣菜加工盛付けエリア、2F:事務所、厚生エリア、ベーカリー・カットキャベツ・カットパイン加工盛付けエリア)
■供給商品:米飯、惣菜、ベーカリー、野菜・フルーツ等の加工・製造
■供給店舗:平和堂 全154店舗(兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、福井県、石川県、富山県、岐阜県・愛知県)、エール 全2店舗(京都府) ※店舗数は2023年9月4日現在
■稼働日:2023年5月31日
■稼働時間:24時間
(藤原秀行)※いずれも平和堂提供