川崎のJFEスチール製鉄所跡地に水素供給拠点など設置へ、最先端物流拠点の形成も

川崎のJFEスチール製鉄所跡地に水素供給拠点など設置へ、最先端物流拠点の形成も

跡地利用構想を公表、2050年の姿念頭に

JFEホールディングス(HD)は9月7日、傘下のJFEスチールが川崎市の東日本製鉄所京浜地区の高炉稼働を9月16日で休止するのに伴い、同市と連携して跡地の利用構想「OHGISHIMA2050」を取りまとめたと発表した。

2050年の姿を念頭に置き、日本の脱炭素化をリードするため、カーボンニュートラルと環境負荷低減の技術革新を促進する施設や設備などを集めることを基本に据え、大型船舶が着岸できる港湾エリアの特性を生かして周辺の発電所向けの水素供給拠点などを設けることを打ち出している。燃焼時にCO2を出さない水素の普及を後押しするのが狙い。

また、大規模災害が発生した際、周辺住民らが避難できる機能を持たせることも想定している。2028年度から一部エリアの利用を開始する予定。

このほか、最先端物流拠点を形成するため、物流事業者らに進出を呼び掛けることも盛り込んでいる。


2050年を想定した扇島地区のイメージパース

構想の対象は高炉のある扇島地区の約222ha。カーボンニュートラルを推し進めるための技術を集結させる約70haの「先導エリア」、他の企業や行政などと連携して新たな技術開発を推し進める約130haの「共創エリア」などに区分する。

先導エリアは「カーボンニュートラルエネルギーゾーン」を配置し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実証事業として液化水素の受け入れ基地を整備することを検討している。

併せて、「高度物流ゾーン」「港湾物流ゾーン」を設ける。前者は最先端物流拠点の形成に向け、物流事業者らを誘致する予定。後者は川崎港の機能発展につながる公共的な港湾施設の導入を目指す。

共創エリアの中央には、広大な緑地を整備しながら、DXやGX(グリーンイノベーション)を促進する最先端の設備を共有可能な「シェア型都市空間」を設置。様々な技術を実証・体験できる場とする。

その周辺に、「次世代産業ゾーン」「複合開発ゾーン」を設け、官民が連携して水素や再生可能エネルギーによる発電、完全自動運転のモビリティの運行、ドローンや「空飛ぶクルマ」の活用などを図ることを視野に入れている。


跡地利用のゾーン分け(いずれもプレスリリースより引用)

(藤原秀行)

構想の概要はコチラから(JFEHDウェブサイト)

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