ゼネコン大手の鹿島が国内で物流施設開発事業に参入発表★続報

ゼネコン大手の鹿島が国内で物流施設開発事業に参入発表★続報

第1弾は東京と宮城で建設へ、不動産投資強化図る

鹿島は9月21日、国内で物流施設開発事業に参入すると発表した。第1弾として東京都と宮城県でマルチテナント型物流施設2棟の建設工事に着手した。

同社が建設会社としてデベロッパーから案件を請け負うのではなく、自社で物流施設の企画・設計・施工まで一貫して担うのは国内で初めて。既に北米では物流施設開発を手掛けており、国内でも事業を広げる。

同社は2023年度を最終とする現行の中期経営計画で、国内で不動産開発に累計1900億円を投じる方針を示している。これまで注力してきたオフィスビルやマンションに加え、需要が旺盛な物流施設も手掛けることで、不動産開発の厚みを増していきたい考え。ゼネコンとしての技術力やノウハウを最大限生かし、建築費高騰をカバーしていくことを念頭に置いている。

開発するのは東京都大田区南六郷の「(仮称)鹿島南六郷物流センター」と、宮城県富谷市の「(仮称)鹿島富谷物流センター」。竣工はいずれも2024年10月を予定している。

施設名称は、鹿島物流センター(Kajima Logistics Center)の英字を略し「KALOCTM」(カロック)とする予定。

建設業界では清水建設が自社で物流施設開発を展開、国内で実績を重ねている。鹿島も追随し、物流施設の需要を獲得、不動産開発事業を強化していきたい考え。


「(仮称)鹿島南六郷物流センター」の完成イメージ


「(仮称)鹿島富谷物流センター」の完成イメージ

「(仮称)鹿島南六郷物流センター」は京浜急行本線の六郷土手駅から徒歩8分に位置。国道15号(第一京浜)に近接し、都心部や神奈川方面へのアクセスに強みを持つ。羽田空港や東京港にも近く、航空港湾貨物にも対応可能。都心近郊へのラストワンマイルの配送拠点となる“都市型物流施設”として利用を呼び掛ける。

延床面積約6900坪、4階建てのボックス型物流倉庫で最大2テナントが入居できる設計にする。建物北側にメーンのトラックバース20台分を設けるほか、建物西側には中・小型トラック用の補助バースを設置し、荷物や配送車両の種類に応じた効率的な配送を後押しする。

標準仕様として荷物用エレベーターと垂直搬送機を各2基配置し、将来増設用のスペースも確保。基準柱スパンは間口11.5m×奥行10.2m、天井高は5.5mとする。

BCP対策として、連続72時間給電可能な非常用発電設備を設置し、停電発生時にもエレベーターやトイレ、通信、セキュリティなどの機能を維持できるようにする。

建物屋上に太陽光発電設備を設置するほか、LED照明や高性能Low-E複層ガラスを活用し、ZEB認証とCASBEE認証Aランクの取得を予定している。建物躯体の一部に、鹿島が開発に参画した、製造時のCO2排出を抑制した「ECMコンクリート」を使用することで、施工中に排出するCO2の削減を図る。併せて、施工に使用する建設重機にバイオディーゼル燃料を用いることも検討している。

南六郷は江戸時代、六郷川(多摩川下流域の旧称)の渡しを待つ宿場として栄えた街の歴史を踏まえ、外装は江戸時代後期に流行した「紅消鼠色(べにけしねずみいろ)」をアクセントとして暖色をベースとする落ち着いた色を取り入れる。

外周に植栽を施し、北側と西側道路沿いには2m幅の歩道を新たに整備。近隣住民との共生に努める。

【(仮称)鹿島南六郷物流センターの概要】
事業主体  : 鹿島建設株式会社 開発事業本部
所在地  : 東京都大田区南六郷三丁目12-2(住居表示・予定)
用途  : マルチテナント型物流倉庫
敷地面積  : 10,689m2(約3,233坪)
延床面積  : 22,719m2(約6,872坪)
階数  : 地上4階建て
構造  : 柱RC梁S造
設計  : 鹿島建設株式会社 建築設計本部
施工  : 鹿島建設株式会社 東京建築支店
竣工  : 2024年10月(予定)

一方、「(仮称)鹿島富谷物流センター」は仙台市の北に位置する富谷市で鹿島が施行した土地区画整理事業地内に位置。東北自動車道仙台泉ICから約3kmで、東北エリアを広域にカバーできる立地。人口増加の続く仙台北部(富谷市、大和町、大衡村)は、テナント企業の労働力確保で強みになると見込む。

延床面積約1万4100坪、4階建てのスロープ型物流倉庫とする計画。倉庫部分の基準柱スパンは間口11.3m×奥行10m、天井高は5.5mと設定。標準仕様として荷物用エレベーターと垂直搬送機を各4基配置する。

1・2階で計48台分のトラックバースを計画しており、スロープは寒冷地対応として融雪機能を備える。汎用性の高い仕様を取り入れ、最大4テナントの入居に対応可能とする。施設内に共用のカフェテリアや屋上テラスを設け、テナント従業員の利便性・快適性を追求する。

建物の構造には、東北地方のマルチテナント型物流施設として初めて免震構造を採用(CBRE調べによる)。地震が発生した際には建物の揺れを低減し、人や物の被害を最小限に抑える。BCP対策として、連続72時間給電可能な非常用発電設備を設ける。

LED照明や高性能Low-E複層ガラスを採用する、PPA(屋根貸しモデル)サービスを活用した太陽光発電設備の設置により、ZEB認証とCASBEE認証Aランクの取得を予定している。

【(仮称)鹿島富谷物流センターの概要】
事業主体  : 鹿島建設株式会社 東北支店
所在地  : 宮城県富谷市成田9丁目52-1(地番)
用途  : マルチテナント型物流倉庫
敷地面積  : 21,770.79m2(約6,600坪)
延床面積  : 約46,726.03m2(約14,100坪)
階数  : 地上4階建て
構造  : 柱RC梁S造、免震構造
設計  : 鹿島建設株式会社 東北支店
施工  : 鹿島建設株式会社 東北支店
竣工  : 2024年10月(予定)

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

物流施設/不動産カテゴリの最新記事