「2024年問題」対応、モーダルシフト促進へ船舶や鉄道の輸送量2倍に拡充★続報2

「2024年問題」対応、モーダルシフト促進へ船舶や鉄道の輸送量2倍に拡充★続報2

政府が閣僚会議で取りまとめ、荷待ち時間短縮などの計画策定を大規模荷主に義務化も

政府は10月6日、首相官邸で「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」の第3回会合を開き、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴い物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応を盛り込んだ「物流革新緊急パッケージ」を取りまとめた。

今年6月、既に同会議で政策をまとめたパッケージを打ち出していた。今回は特に緊急に取り組むべき事項を集めており、今年10月に政府が決定する新たな経済対策にも反映させる予定。

「物流革新緊急パッケージ」は、長距離輸送でトラックから鉄道や内航海運へのモーダルシフトを促進するため、鉄道や船舶の輸送量と輸送分担率を今後10年程度で現状から2倍に拡充する目標を設定。

併せて、運賃適正化や賃上げを促進するため、新法の策定を表明。一定水準以上の物流量を扱っている大規模な荷主企業に対し、法律で「物流経営責任者」を選任して業務効率化や荷待ち時間短縮のための具体的な計画を策定するよう定めたり、運送事業者と契約を明確に文書で交わすよう義務化したり、下請け事業者の利用状況を明記した「実運送体制管理簿」を作成することを義務付けたりすることを明記した。

また、荷主や元請けの物流事業者の問題行為を調査する「トラックGメン」による「集中監視月間」を今年11~12月に設け、不当な料金引き下げなどの問題行為がないかどうかチェックを強化。

国土交通相が荷主との運賃交渉の目安として告示している「標準的な運賃」についても、現下の燃料費高騰などの動向を踏まえ、2023年中に運賃自体の水準を引き上げるとともに荷待ち、荷役が発生した場合の対価も加算できるようにする新たな内容を決定、公表する方針を示した。

宅配荷物の再配達削減のため、「置き配」を利用した消費者へのポイント付与といった仕組みを設立するための実証事業を行うなど、消費者の意識改革・行動変容を後押しすることも掲げている。

会合で岸田文雄首相は「物流は国民生活や経済を支える重要な社会インフラであり、物流の停滞が懸念される2024年問題が喫緊の課題」とあらためて強調。

「11月からの集中監視月間で集中的な取り組みを行うとともに、物流2024年問題という変化を力に変え、わが国の物流の革新に向けて、政府一丸となって、精力的に取り組んでいただくようお願いする」と関係閣僚に指示した。

「物流革新緊急パッケージ」は港湾施設の整備や、運送事業者がテールゲートリフターなど作業を省力化するための設備導入への支援も示している。

また、「中長期計画の策定など、政策パッケージの施策を着実に実施し、進捗の管理を行う」方針を表明している。


会合で発言する岸田首相(首相官邸ホームページより引用)

(藤原秀行)

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