【現地取材・動画】プロに見せたい物流拠点(特別編)ZOZO「ZOZOBASEつくば3」

【現地取材・動画】プロに見せたい物流拠点(特別編)ZOZO「ZOZOBASEつくば3」

労働力不足深刻化にらみ100億円投じて自動化促進、3割の省人化目指す

未曾有の人手不足をはじめ課題山積の物流業界でピンチをチャンスに変えようと、省力化や生産性向上などに果敢に取り組む物流施設を紹介するロジビズ・オンライン独自リポート。今回は特別編として、ファッションEC「ZOZOTOWN」を展開しているZOZOが10月25日、メディアに公開した茨城県つくば市の「ZOZOBASEつくば3」に焦点を当てる。

同拠点はプロロジスが開発した物流施設「プロロジスパークつくば3」を1棟借りしている。ZOZOとして最大規模を備えており、人口減少による将来の労働力不足深刻化をにらみ、従来の同社拠点の4倍に相当する約100億円を投じて自動化を促進。11月に稼働を本格化させ、これまでの同社拠点よりも3割程度の省人化を果たそうと取り組んでいる。

まさに同社が志向している物流の姿を体現している物流拠点だ。トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う現場の混乱が危惧されている「2024年問題」も乗り越えようとしている。


「ZOZOBASEつくば3」が入る「プロロジスパークつくば3」(ZOZO提供)

日本初の吊り下げ式高速仕分けシステムが稼働

プロロジスパークつくば3は今年2月に竣工した。地上5階建て、延床面積は約13万7000㎡(賃借エリア)。「ZOZOBASE」としてはつくば市内で3カ所だ。このほかに千葉県習志野市に2カ所を構えており、全体では5カ所目となる。つくば3の開設でZOZOBASE全体としては保管可能な商品数が約1.3倍に拡大した。

ZOZOでは「効率化」をコンセプトに掲げ、自動化は全て社内で企画・実行している。使っているソフトウエアも自社で設計しているという。つくば市に3つの拠点を集めることで、拠点間の連携を効率的に行えるようにしている。つくば3の発送能力は1時間当たり1万件を想定している。

ZOZOがこの日公開した自動化の領域は、まず5階の仕分けエリアだ。プラスオートメーションが取り扱っている仕分け用AGV(無人搬送ロボット)「t-Sort」を約500基採用。入荷してきた商品を仕分けしている。以前は全て手作業だった仕分けの大部分をAGVに任せ、1時間当たり3万2000点の商品処理を可能にしている。


仕分けで活躍するt-Sort。自動的に商品をコンテナに格納する

仕分けた商品はコンテナに収め、コンベアで保管エリアに搬送。保管場所をシステムで記録しながら作業スタッフが商品を棚入れしていく。出荷の際は、作業スタッフが当該商品をピッキングしコンテナに収めてコンベヤに乗せると、2階にある「シャトル&サーバー」と呼ぶ自動保管設備に取り込まれて1次保管し、自動で出荷が早いものから順立てしていく。約5000個のコンテナを保管可能で、処理できる入出荷数は1時間当たり2100コンテナ。出荷するコンテナをシャトル&サーバーからコンベアで1階の出荷エリアに送る。


保管棚の作業イメージ(ZOZO提供)


「シャトル&サーバー」(3枚目の写真はZOZO提供)

1階の出荷エリアでは、豊田自動織機傘下のオランダ・Vanderlande(ファンダランデ)製の吊り下げ式高速仕分けシステム「Pocket Sorter(ポケットソーター)」を設置。レールに吊り下げたポケットに商品を投入すると、自動的に商品を出荷順に仕分けするのが特徴。天井空間を利用するため、床面を他の作業に有効活用できるようになるなど空間利用効率を高められるのが強みだ。日本ではZOZOが初めてポケットソーターを採用した。

大量のアパレルアイテムを扱うため、多くのポケットを使える同システムを取り入れることで、より多くの注文に対応していくのが狙いだ。約2万6000ポケットが天井を周回しており、1万5000点を1時間で仕分けできる。

「シャトル&サーバー」から届いた商品を1点ずつ作業スタッフがポケットに収めていけば、庫内を移動する間に、自動的に出荷1件ごとに荷揃えしていく。梱包を担当するスタッフまでポケットが届くと、システムの指示に従い、ポケットに入った商品を箱に収めて、目の前のコンベアに乗せ、出荷作業場まで届ける。現場ではレンゴーの自動封函機が稼働している。


天井のレールに沿って移動するポケットソーター


ポケットに商品を入れていく


梱包エリアに届いたポケットから商品を取り出し梱包していく


自動封函機

(藤原秀行)

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