ヤマトと連携、入出荷や配送効率化を促進
ZOZOの田代将広執行役員(フルフィルメント本部、ECマネジメント本部、基幹システム本部、ホスピタリティ本部管掌)は10月25日、茨城県つくば市で開設した新たな物流施設「ZOZOBASEつくば3」をメディアに公開したのに際し、現地で記者会見した。
田代氏は、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応として、商品配送を担っているヤマト運輸などと連携しながら、荷主企業として入出荷や配送の効率化を推し進めていく考えを強調した。
その一環として、即日配送とは対照的に、リードタイムに余裕を持たせた商品配送を消費者が選択できるようにし、ポイントなどの形でインセンティブを設定する仕組みを検討していることを明らかにした。
会見する田代氏
「事業継続に重要な拠点」
田代氏は、2024年問題について「取り組みは企業としての責務」と強調。これまでに再配達削減へ「置き配」を標準的な配送方法に設定したり、商品のサイズに合った適正な梱包を導入したりといった取り組みを進めていることに触れた。
その上で、ZOZOBASEつくば3でも、1階の出荷エリアにヤマトの方面別仕分けソーターを取り入れ、ヤマトが迅速に出荷できるよう後押ししていることを紹介。ZOZOBASEつくば3の稼働開始でZOZOの物流拠点が国内5カ所に増え、トラックが届けられる拠点が増えたために待機時間も減らせるとの見通しを示した。
さらに「ヤマトさんと協力し合いながら解決しないといけない部分もそうだが、われわれ自身でできる部分は、消費者にも理解も深めてもらいながら協力していただくことも大事と思っている」と指摘。「具体的なところはまだ申し上げられないが、もう少しゆっくり配送してもいいよというお客様に対しては、そういう配送を提供することを検討していきたい。 それが結果的にモーダルシフトの促進につながっていけばいいかなと考えている」と述べた。
具体的な方法については「どうすれば(ゆっくり配送することを)選んでもらえるか議論している」と語った上で、親会社のZホールディングス系列のアスクルが消費者向け通販サイト「LOHACO」で展開している、標準より遅い届け日を指定した購入者にポイントを付与している仕組みを参考にしていきたいとの考えを示した。
ZOZOBASEつくば3については「つくば市は人口がずっと増加していて、採用のポテンシャルが非常に高い」と強調。これまでの物流拠点の4倍程度の規模で設備投資を進めており、3割の省人化を果たすとの目標にあらためて言及した。
経済産業省からカーボンニュートラルに向けた投資促進と税制の認可を受けたことを踏まえ「われわれとしても大変誇りに持っている拠点。事業継続にとって重要な存在だ」と胸を張った。
さらに、「国内は5拠点になったが、古い拠点はさらに効率化を図っていきたい」と述べ、つくば3で成果を上げた自動化・省人化の手法を他の4拠点に横展開していくことにも強い意欲をのぞかせた。また、今後はピッキングエリアへのアーム型ロボット導入なども視野に入れていく姿勢を見せた。
(藤原秀行)