長瀬産業、化学品に特化したAI共同物流マッチングサービスの提供開始

長瀬産業、化学品に特化したAI共同物流マッチングサービスの提供開始

JPRのシステム活用しクラウドで提供、輸送効率化を支援

化学品商社大手の長瀬産業は11月8日、化学品業界に特化して共同物流を支援する「化学品AI共同物流マッチングサービス」の提供を同日開始したと発表した。

日本パレットレンタル(JPR)が手掛けている異業種間の共同輸送希望をAIで引き合わせ、実現を後押しする「TranOpt」(トランオプト)のシステムを活用している。化学品に絞り込んで共同物流マッチングサービスを展開するのは初めてという。

化学品を取り扱う国内企業を対象に、クラウドベースのサービスとして提供・運用する。利用希望企業は年会費に加え、共同物流が成立するごとに長瀬産業へ手数料を支払うる成功報酬型として運用している。

トラックドライバー不足に加え、長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」もあり、危険品を取り扱う物流の持続可能性が危ぶまれている。化学品は安全面で一般品との混載が法律で制限されている上、臭いなどの問題から物流会社からも取り扱いを敬遠されるなど、物流を取り巻く環境は厳しさを増している。

長瀬産業は昨年5月、化学品を取り扱う企業を対象とした研究部会を立ち上げ、共同物流マッチングサービスの実証実験を開始。JPRから「TranOpt」のライセンス提供を受け、化学品・塗料・インキといった化学品を取り扱う取引先や物流会社など約20社を対象に、マッチングから共同物流までの検証を実施した。

新サービスは「TranOpt」が装備している、AIを駆使して危険物の混載を自動的に制御する新機能も利用できる。

長瀬産業は荷主とドライバーのマッチングを行う従来のサービスとは異なり、荷主同士をマッチングさせることで、定期運行されている効率の低い輸送便を対象にマッチングが可能となり、輸送の効率化によるコスト削減や温室効果ガス排出量削減といった効果が期待できると解説。今後は輸送に関わる倉庫のマッチングなど、化学品の物流に関わる新たな機能の充実も視野に入れていく方針。


(長瀬産業提供)

(藤原秀行)

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