ピツニーボウズジャパンが指数発表、中国の鈍化響く
米郵便計器大手ピツニーボウズの日本法人ピツニーボウズジャパンは11月8日、日本を含む世界の主要13市場の2022年のデータを基にした最新の「パーセル・シッピング・インデックス(小包配送指数)」を公表した。
指数の公表は16年から毎年実施しており、今年が8回目。22年の日本の総小包取扱量(宅配便・メール便合計)は21年比で1.1%減少の91.3億個だった。宅配便はeコマースの成長に伴い1.7%増だったが、メール便の取り扱いが5年連続で減り、22年は4.2%落ち込んだことが影響した。
20年は総小包取扱量が9.7%増、21年も3.8%増だったが、全体では減少に転じた。新型コロナウイルス禍でeコマースの利用が急速に膨らんだが、経済活動の再開で実店舗の利用が広がっていることが背景にありそうだ。
一方、グローバルの小包取扱量は22年に1610億個と、21年の1590億個から1%プラス。ただ、21年の伸び(21%)からは急ブレーキがかかった。小包の売上高は4850億ドル(約72兆7500億円)で、21年の4890億ドル(約73兆3500億円)から1%減った。1秒当たりの小包出荷個数は21年の5052個から22年は5102個に増加した。最大市場の中国で伸びが鈍化したことが際立っている。
(ピツニーボウズジャパン提供)
日本の動向を分析すると、1秒当たりの総小包出荷数は289個、1日当たりでは2500万個だった。1人当たりの総小包出荷数は73個で、21年の74個から0.6%減った。
宅配便の取扱個数は21年の48億1000万個から22年は48億9000万個へ伸びた半面、便売上高は21年の3兆72億8000万円から0.2%減って3兆3億円。1個当たりの単価が下がっている可能性がある。
メール便の取り扱い冊数は21年の44億2000万冊から22年は42億3000万冊へ縮小。売上高も21年の5020億1000万円から1.7%減って4936億9000万円にとどまった。
ピツニーボウズジャパンの田邉卓也社長は今回の調査発表について「メール便が前年比で減少し続けているのは、主にオフィス環境におけるDXの台頭によるものと推測します。このトレンドは今後も続くことが予想されますが、メール便の取扱量が減少しつつも、売上高の減少率は比較的緩やかなことから、消費者がメール便を依然として不可欠なサービスとして利用していること、またその利用頻度は減少しているものの、利用する場合はより付加価値の高いオプションを選択していることが分かります」との見解を示した。
世界的に見ると、グローバル市場の小包取扱量は2016年の640億個から7年後の22年は1610億個へ2.5倍に拡大。22年はeコマースの伸長により、インドが18%と過去最大の伸びを示し、イタリア(4%)、中国(2%)、オーストラリア(2%)、ブラジル(2%)も増えた。
一方で、カナダとドイツはそれぞれ9%減、7%減と大きくダウン。中国は22年が1110億個でトップを維持したものの、21年の30%増という大きな伸びから22年は一転して過去最も低調な成長に落ち着いた。
ピツニーボウズジャパンは23~28年の世界の小包取扱量は年平均成長率(CAGR)6%と、昨年の予測値8%から下方修正したものの、28年までに2250億個に達すると推測している。
(藤原秀行)