【独自】自動フォーク活用の無人搬送システムで作業短縮、「2024年問題」対応貢献目指す

【独自】自動フォーク活用の無人搬送システムで作業短縮、「2024年問題」対応貢献目指す

清水建設などの合弁会社、「次世代物流センター」構築も視野

清水建設とレンタルのニッケン、東京センチュリーが物流現場の自動化支援を強化している。3社で今年6月に合弁会社「リードテック」を設立、自動フォークリフト(AGF)を活用した屋内外の無人搬送システムを物流企業に提案。人手不足に悩む物流現場で容易にAGFを使えるようサポートする。

今後は既存の倉庫へシステムを採用するのに加え、清水建設の建築に関する技術力も生かして、新築の倉庫で当初からシステム活用を前提とした設計を採用、ビルトインでシステムを導入できるようにし、初期投資を大幅に押さえることも積極的に提案していく考えだ。

トラックからの荷降ろしやトラックへの積み込みをAGFに担わせることで、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」の解決促進にも貢献できるとみている。

将来、トラックの自動走行が実現した際には、AGFと連携させることで庫内作業を大幅に自動化した「次世代物流センター」を実現していくことにも意欲を見せている。

夜間に入荷準備完了も可能

リードテックは清水建設が6割、ニッケンと東京センチュリーが2割をそれぞれ出資。AGFは搬送ロボット分野で世界的なシェアと実績を持つ中国のVisionNav Robotics(ビジョンナビロボティクス)の製品を活用している。清水建設が開発した、誰でも簡単に搬送指示を入力できるよう分かりやすいインターフェースを採用しタブレット端末からの操作を容易にするシステム「ユニバーサルUI」を取り入れ、AGFを活用して作業の省人化を図る。

清水建設出身でリードテックの坂本眞一取締役は「2024年問題もあって、作業効率化のために自動化したいとお考えになってはいても、既存の施設にどうやってAGFを入れればよいのか分からないというお客様が多いのではないか。ユニバーサルUIは徹底的に分かりやすさ、操作しやすさにこだわって開発しており、高性能のビジョンナビ製AGFと組み合わせることで、容易に現場で活用できるようになる。ビジョンナビ制AGFは高性能の割に価格が抑えられており、お客様にとっても非常にメリットは大きい」と強調する。


ユニバーサルUIのロゴマーク


ビジョンナビ製AGF。9月開催の「INNOVATION EXPO2023」でお披露目した(いずれも清水建設提供)

清水建設でも建設業界の人手不足などを考慮し、2016年から建設現場向けのロボット開発に着手。22年には資材搬送作業の省力化のため、フォークリフト型の自動搬送ロボットを開発した。

今回は自社開発の自動搬送ロボットとは別のスキームとして、ビジョンナビの製品を採用。買い切りとリースの両方で提供できるようにするなど、物流現場での導入のハードルを下げるよう努めている。全国に拠点を構えるレンタルのニッケンや東京センチュリーの営業網を最大限生かしていくことを構想している。

さらに、独自の試みとして、導入前に実際の現場でビジョンナビのAGFの実機を使い、試験走行することにも対応している。導入を検討している企業にイメージをつかんでもらいやすくするのが狙いだ。導入を決めればデモの費用はリードテックが負担し、もし採用に至らなくても試験走行の費用のみ支払えば済むようにしている。

坂本氏は、ユニバーサルUIを活用することで、AGFの遠隔操作も可能になると説明。「例えば、夜のうちに倉庫へ到着したトラックからAGFで荷降ろしし、仮置き場に荷ぞろえしておけば、翌朝すぐに有人のフォークリフトで入荷作業を始めることが可能になる。荷降ろしを自動化できればトラックドライバーの負担も減らせる」と説明する。

清水建設は請負に加え、自社で物流施設の開発用地を取得、物件の建設を自前で展開しテナントも誘致する投資事業を展開している。トラックの自動運転など先進技術の開発が進んだ将来は、今回発表したAGFによる無人搬送システムと、他の先進的な自動化・省人化技術を組み合わせた「次世代物流センター」を提供していきたいとの思いも透けて見える。

(藤原秀行)

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