国交省有識者会議の座長らが意見発表
国土交通省は4月18日、東京・霞が関の同省内で、「道路の耐災害性強化に向けた有識者会議」(座長・家田仁政策研究大学院大教授)の第3回会合を開いた。
家田座長と松田泰治委員(九州大大学院工学研究院教授)が、災害に強い道路の構築と早期復旧を可能とする体制の整備について意見を発表。このうち家田座長は災害が起きた後に渋滞が起きて救命や復旧作業に支障を来さないよう、各地の交通の流れを調整できる「統括的交通マネジメント」の実施体制を法律で規定しておくことなどを提案した。
同会議は今年夏までをめどに報告書を策定する予定。
会合で家田座長は、統括的交通マネジメントの実施体制に関し、地元の交通を専門とする学識経験者を委員長に据え、道路管理者、警察、鉄道やバスなどの公共交通事業者らを基本メンバーとする姿を想定。学校や経済界、市民の代表も加え、オープンな議論を可能とする体制を法律で担保し、災害発生時には速やかに招集できるよう、平時から懇談しておくことを提唱した。
このほか、
・災害時における自動車を利用した避難の在り方に関する指針の策定
・2車線道路の路側帯を拡幅して耐災害性を大幅に向上させるなど、災害に配慮した道路構造令など設計基準類の見直し
・道路ネットワークの耐災害性評価手法の充実
――などを列挙した。
松田委員は2016年の熊本県地震の経験を振り返り、ハード面で新たに設ける橋は設計の際に地盤が横に引っ張られる「断層変位対策」を考慮しておくことなどの必要性を指摘。
ソフト面でも、緊急車両が通行できるよう最低限のがれき撤去などで早急にルートを設ける「道路啓開」の実施情報を迅速に開示した結果、緊急車両と一般車両が集中して渋滞が起き、救助活動を妨げたとして、道路啓開情報の適正な管理を訴えた。
第3回会合を開いた国交省の有識者会議
(藤原秀行)