28年末に海底下への圧入・貯蔵開始目指す
石油資源開発(JAPEX)、日揮ホールディングス(HD)、川崎汽船の3社は11月20日、マレーシア国営エネルギー企業のPetroliam Nasional Berhad(ペトロナス)子会社のPETRONAS CCS Ventures(ペトロナスCCSベンチャーズ、PCCSV)と、マレーシアでのCCS(CO2の回収・貯留)の事業化実現に向けた検討を始めたと発表した。
4社による基本契約は9月22日付で締結した。
2022年1月にペトロナスとJAPEXが開始し、同年7月に日揮HD傘下の日揮グローバルと川崎汽船の参加後は4社で進めてきたマレーシアCCS共同スタディにおける、CO2地下貯留能力、CO2排出源からの海上輸送ならびに圧入方法などの調査を踏まえ、同国の海域において特定された枯渇油ガス田群と付帯する塩水帯水層を貯留対象とすることが、CO2圧入の実効性、早期の事業実現可能性を極大化すると判断。検討の実施に合意した。
本検討では2024年の基本設計作業開始とその後の建設作業を視野に入れた具体的な準備作業に着手。マレーシア国内で排出されるCO2に加え、日本など海外で回収されたCO2を
船舶輸送し、海底下への圧入・貯留を28年末に開始することを目標に掲げ、マレーシア国内のCO2を収集する陸上設備からのCO2輸送パイプラインの敷設、船舶輸送される液化 CO2の受け入れ設備、海洋圧入設備など必要な設備の仕様や費用の積算、事業スキームなどの詳細な検討を進める。
併せて、CCS事業実現に向けて、PCCSVと本側3社はマレーシアの関係先と緊密に連携していく。
PCCSVと日本側3社は20年代中盤の事業化決定と28年末の操業開始を目指し、検討を進めていく予定。目指すCO2圧入量は、事業開始時点でマレーシア国内および日本を含む同国外からの輸送分を合わせ年間約200万t以上、2030年には同約500万tを目標に設定。さらに30年代前半には同1000万t以上への圧入量拡大も視野に入れていく予定。
日本側3社はJFEスチールと今年6月から進めている、日本を起点としたCCSのバリューチェーン構築の共同検討を引き続き進め、本検討との連携を図る。
基本契約セレモニーの様子(JAPEXなど提供)
(藤原秀行)