温室効果ガスの「ネットゼロ」達成見込める企業、日本はわずか15%

温室効果ガスの「ネットゼロ」達成見込める企業、日本はわずか15%

アクセンチュア調査、貨物・物流など重工業の対応促進が重要とも指摘

アクセンチュアは12月4日、温室効果ガス排出削減に関する最新動向調査結果を公表した。

2050年までにネットゼロ(排出量実質ゼロ)達成が見込める企業はグローバルでわずか18%、日本ではさらに少なくて15%にとどまっていることが分かった。また、現在の経済環境下で38%の企業は脱炭素化のためのさらなる投資はできないと回答した。

アクセンチュアは、世界全体のCO2排出量の40%を占めており、エネルギー消費が多く、排出削減が困難な鉄鋼、金属、鉱業、セメント、化学工業、貨物・物流といった重工業で、その成長を可能にする脱炭素戦略を変革することにより、厳しい状況を3年以内に打破できる可能性があるとの見方を示した。

調査は世界の大手企業2000社のネットゼロへのコミットメント、脱炭素に向けた活動、排出量のデータを分析。加えて、産業界の脱炭素化における当面の課題と優先課題を把握するため、14の業界と16カ国にわたる1000人以上の経営幹部を対象とした調査を実施した。

調査によると、ネットゼロの達成を目標にする企業は2022年の34%から37%へ微増。半面、排出量を開示している企業の49.6%が、16年以降、排出量がかえって増加した。

また、32.5%の企業は排出量を削減できているものの、現在のペースでは、50年までのネットゼロ達成は難しい状況という。


(アクセンチュア提供)

重工業の経営者の81%は、自社の産業を脱炭素化するために必要なゼロカーボン電力を確保するのに20年以上かかると予想。一方、エネルギー事業者では自社の事業を脱炭素化することに焦点を当てている。

重工業の経営者の95%は、ネットゼロの製品やサービスをCO2消費量の多い代替品と同程度の価格で提供するには、少なくとも20年はかかると見込む。また、54%がメーカーの調達意向が脱炭素化への投資に十分な信頼をもたらすと答えている。

また、40%は現在の経済状況下で脱炭素化のためのさらなる投資を行う余裕がないと認めている。63%が優先的に取り組むべき脱炭素化対策が30年までには経済的に魅力的なものにならないことを示唆した。

(藤原秀行)

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