実証で生産性42%向上、「2024年問題」への対応を加速
キリンホールディングス(HD)は12月8日、キリンビバレッジとキリングループロジスティクス、三菱ロジスネクストが、飲料出荷拠点へ三菱重工グループの「自動ピッキングソリューション」導入に関する共同実証を展開し、物流現場への実効性を検証したと発表した。
海老名物流センター(神奈川県海老名市)にソリューションを導入することを決定した。2024年12月に本格稼働を開始する予定。
本ソリューションは、これまで物流現場の作業者自身が効率化を考えながら行っていたパレット上に積み付ける作業(ピッキング)を自動化・知能化し、コンベヤーなどの固定設備を使わずに、無人フォークリフト、無人搬送車、ピッキングロボットを連携させて導入できる可動式で汎用性が高い仕組み。
飲料が入った重量のある段ボールを人力でピッキングする重筋作業やフォークリフト搬送を自動化し、作業環境の改善やピッキング人員を検品など他の作業への再配置を進めることが可能。その結果、物流センター全体の人手不足の解消、待機車両時間の短縮につながり、「2024年問題」の対応を加速できると見込む。
ソリューションは自動化・知能化した設備のため、原則的に完全自動化への切り替えが可能。ただ今回は、有事の際に人による作業が可能なハイブリッドなオペレーション設計にすることにより、停電・自然災害などによるBCP(事業継続計画)を考慮した構成を採用している。
今後は夜間帯の無人作業も検討する。
【共同実証の概要と結果】
期間:2022年11月~2023年6月
場所:三菱重工業 Yokohama Hardtech Hub内 実証施設 「LogiQ X Lab」(神奈川県横浜市)
内容:
・キリンビバレッジの倉庫オペレーション状況下でのピッキングソリューションの検証
・ピッキングソリューションの生産性確認及び、倉庫導入に向けた生産性向上の検証
・キリンビバレッジの倉庫の自動化範囲と人的作業範囲の最適化検討、運用プロセス確立
・キリンビバレッジの倉庫向け設備・システム仕様の検討
結果:
・海老名物流センターを前提としたピッキングソリューションの設備・システム仕様の構築
・ピッキングソリューションによる生産性42%向上(実証前比)
従来のピッキングフロー
自動化のフロー
(いずれもキリンHD提供)
(藤原秀行)