公取委、コスト上昇分の価格転嫁で8175社に「独禁法違反の恐れ」と注意喚起文書送付

公取委、コスト上昇分の価格転嫁で8175社に「独禁法違反の恐れ」と注意喚起文書送付

情報サービス業や協同組合、道路貨物運送業など目立つ

公正取引委員会は12月27日、2022年~23年にかけての取引を対象に実施してきた、人件費や原材料費などのコスト上昇分の価格転嫁の進捗状況に関する調査結果を公表した。

調査は今年の5月と8月、それぞれ実施した。書面調査に回答した業務発注側の4万7725社(協同組合含む)のうち約17%の8175社に対し、独占禁止法で禁じている「優越的地位の濫用」に該当する恐れがあると指摘、改善を求める注意喚起の文書を送付したことを明らかにした。

業務を受注した企業から価格転嫁の交渉要請があったにもかかわらず、十分応じていないことなどを問題視した。

業種別に注意喚起の文書を送付した企業数を見ると、「情報サービス業」が最も多く755社で、「協同組合」(559)、「道路貨物運送業」(460)、「機械器具卸売業」(391)、「総合工事業」(325)などが続いている。

公取委は、原材料費や燃料費に比べ、労務費の上昇分の転嫁が進んでいないと指摘。受注者側がそもそも価格転嫁の養成をしていなかったり、要請をしても労務費の上昇を理由としていなかったり、労務費上昇を理由として要請しても転嫁率が低い受注者が多かったりしたと説明している。

(藤原秀行)

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