物流工程も加味した新技術のラボを東京・調布に開設
NTT東日本は1月24日、地域の企業や自治体などが自らの敷地内で柔軟に高速大容量通信の環境を構築・保有できるマネージドローカル5Gサービス「ギガらく5G」を活用し、工場で柔軟に変種・変量生産できるようにするスマートファクトリーソリューションの本格展開を開始すると発表した。
併せて、応用技術を展示し、効果を体感できるショールームと現場実装前に顧客向け機器の開発検証を行える施設の機能を持つ「ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボ」を同日、東京都調布市の「NTT e-City Labo」内に開設したことも開示した。
同施設は製造業・物流業などにローカル5Gを活用したソリューションを実装するための技術開発・検証の場として活用する。
施設内観
従来の製造業は「少品種大量生産」による高効率な生産が主流だったが、近年は多種多様な製品を必要な量だけ生産する「変種変量生産」がメーンになっている。
そのため、工場は生産工程の変更を頻繁に強いられるほか、作業員に求められる作業内容の幅が広がる(多能工化)ため、品質の平準化や作業員のスキル・経験不足を補完するデジタルアシストツール(AIカメラ・作業支援システム・スマート電動工具など)を取り入れる必要性が高まっている。
ただ、工場設備はネットワーク機器をつなぐケーブルが多量かつ正確に配線されているため、工程変更が発生するたびに配線変更や配管の新設・撤去が必要となり、現場の大きな負担になっている。物流業も「2024年問題」を前に現場の生産性向上がより強く求められている。
変種変量生産の工場において柔軟性を向上するためには、設備を無線化することで配線を削減することが必要。その際、工場内の隅々までカバーできる広域な無線規格や、生産を止めない安定大容量の通信が必須となる。併せて、接続制限や、ネットワーク分割をすることで工場内のセキュリティーを担保することも重要。
こうした要件を満たす無線ネットワークとして、NTT東日本はローカル5Gが活用できると指摘。ギガらく5Gを生かし、工場・倉庫設備全体の無線化や、無人搬送車やデジタルアシストツールの新たな導入によって通信量が増大する場合も、安定した通信環境を確保することが可能と見込む。
工場内の複雑な配線のイメージ
また、新施設は次世代の製造・物流工程をイメージしたショールーム兼開発検証施設と位置付けており、入庫・組み立て・検査・リペア・出庫といった一連の製造工程に設置された各機器をローカル5G対応させていることから、即時かつ柔軟に変更可能な製造工程を見学できる。
●施設外観
●「ローカル5Gスマートファクトリー&ロジスティクスラボに導入済の機器一覧
(藤原秀行)※いずれもNTT東日本提供