首都圏の大規模マルチ型物流施設、昨年末の空室面積は58.1万坪で過去最高更新

首都圏の大規模マルチ型物流施設、昨年末の空室面積は58.1万坪で過去最高更新

CBRE調査、空室率は2四半期連続上昇し9%台に

シービーアールイー(CBRE)は1月31日、2023年第4四半期(10~12月)の大規模マルチテナント型物流施設(延床面積1万坪以上)の賃貸市場動向に関する調査結果をまとめた。

首都圏の期末時点の空室率は9.3%で、前期(7~9月)から0.4ポイント上昇した。空室率は3四半期続けてアップした後、前期(4~6月)はいったん横ばいとなったが、再び2四半期連続の上昇となった。

今期(第4四半期)の新規供給は3棟、10.4万坪で、23年の四半期としては最も少なく、過去最高だった23年第1四半期の32.4万坪から3分の1程度にとどまった。新たに竣工した物件の稼働率は2割程度で、空きスペースを残したままの完成が目立つ。

新規需要は7.3万坪で、過去2年間で最も低い水準を記録した。

CBREは主な要因として、空室が多い地域に新規竣工が集中したことや、既存物件で生じた大規模な空室が解消されなかったことを指摘。首都圏全体の空室面積は過去最高だった前期からさらに増え、58.1万坪に達した。

築1年以内の物件の空室率を指す「既存空室率」は2.7%で、前期から0.6ポイント上がり、17年の第2四半期以来、約6年ぶりの高い水準に達した。

1坪当たりの実質賃料(共益費込み)は前期から横ばいの4520円だった。好立地・高スペックの物件や、周辺に空室が少ないエリアの物件は賃料相場が上向いたが、圏央道の外縁エリアで空室を多く残している物件が賃料の下げ圧力につながり、結果として均衡した。

CBREは「立地やスペックによる(空室率や相場の動向の)二極化が続いている」と分析している。今後については、24年に入って再び供給量が拡大、空室率は10%近くまで上がるものの、その後は下落傾向に転じると予想している。


首都圏の需給バランス(CBRE資料より引用)

(藤原秀行)

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