ブリヂストンが一般向け初、「テクノロジー介して想い伝える」狙い
ブリヂストンは2月9日、東京・渋谷駅前の体験型ストア「b8ta Tokyo Shibuya」で、人間の手のようにやわらかく動くことが可能なゴム人工筋肉「ラバーアクチェーター」を体感できるユニークな展示会を開始した。これまで企業向けの展示会でラバーアクチェーターを積極的に出展しているが、一般向けにお披露目にするのは初めて。展示はバレンタインデーの2月14日まで実施している。
ゴム人工筋肉は同社がタイヤなどゴム製品で長年蓄積してきた技術やノウハウを基に開発。昨年1月に設立した社内ベンチャー「ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ」(BSV)が実用化に取り組んでいる。
ロボットの「手」の部分にゴム人工筋肉を使えば適切な力で物をつかめるようになるため、製造業や物流業などの現場での活用が期待されている。BSVは24~26年度にまず小規模で事業化していくことを目指している。
展示されているゴム人工筋肉
まるで生き物のように動く
展示実現に尽力した(左から)BSVの手塚晶子氏、石田潤子氏、荒井航氏
今回の展示会は、ロボットハンド以外にも、人同士のコミュニケーション促進などゴム人工筋肉の使途を広げたいとの思いで、BSVに所属する若手3人が軸となり企画した。「想いは筋肉に宿る」をタイトルに掲げ、「柔らかいテクノロジーを介して想いを伝えたくなる場」として、円形のテーブルから30本のラバーアクチェーターが立ち上がっており、来場者が脇に仕込んでいるセンサーのゴム人工筋肉を握ると、まるで新種の生き物のように、くねくねと動き出す仕組みだ。
バレンタインデーを意識し、ゴム人工筋肉がさまざまな動きをすることで、思いを伝えるという不思議な空間だ。BSVの荒井航氏は「ロボットハンド以外にも役立つ可能性があると考えている。ぜひ多くの方に、実際に触れてみていただきたい」と狙いを強調。
BSVの音山哲一CEO(最高経営責任者)は「若手が非常にチャレンジしてくれた。産業界以外の方々にもわれわれの技術の価値を訴えていきたい」と力説している。
(藤原秀行)