平均8%程度値上げ、国交省が近く告示へ
斉藤鉄夫国交相が運輸審議会(会長・堀川義弘元三井住友DSアセットマネジメント副社長)に諮問していた、貨物自動車運送事業法に基づいて告示している「標準的な運賃」の見直し案について、同審議会は2月29日、内容は適当と斉藤国交相に答申した。国交省が同日、公表した。
見直し案は地域ごとに設定している距離制・時間制の運賃表(タリフ)で打ち出している運賃を平均8%程度引き上げることなどを盛り込んでいる。国交省は近く、あらためて改正した標準的な運賃を告示し、2024年度から本格的に物流業界などへの浸透を図る。
標準的な運賃は政府が取りまとめた「2024年問題」への対応に関する政策パッケージで、トラックドライバーの待遇改善を促進するため内容見直しを主張。
国交省が設置した官民の検討会は昨年12月、運賃の引き上げと併せて、算定根拠となる原価のうちの燃料費を1リットル当たり120 円に変更し、燃料サーチャージも120 円を基準価格に設定することなどを提案した。
燃料費高騰などで経営環境が厳しい実態を反映させた新たな標準的な運賃を告示して、運送事業者が荷主企業や元請け運送事業者との運賃改定交渉に臨む際に活用してもらい、適正な利益を確保できるよう後押しするのが狙いだ。
同審議会は答申で「告示(の見直し)案は、一般貨物自動車運送事業の能率的な経営の下における適正な原価および適正な利潤を基準としたものである」との見解を示し、内容は適当と判断。
同時に、国交省に対し、荷主企業や運送事業者、一般の消費者に周知・徹底することや、実勢運賃への反映状況を定期的に評価・分析して継続的に標準的な運賃の改善・見直しを図ることなどを要請している。
同審議会が2月に開催した公聴会では、出席した公述人からどの階層の運送会社に支払うべきものなのかが明示されていないことなどを理由に、原案での見直しに異議を唱え、内容の一部修正を要望する意見が出たが、答申は見直し案をそのまま認めた格好だ。ただ、公述人の意見にも配慮し、定期的に内容を見直すよう国交省に注文した。
(藤原秀行)