ベジテック、デリカフーズHDと4社連合体、青果流通加工プラットフォーム強化図る
エア・ウォーターは3月28日、米卸大手の神明ホールディングス(HD)と3月22日付で資本・業務提携契約を締結したと発表した。3月29日付で神明HDの発行済み株式の4.7%を取得する。
農業の人手不足や「2024年問題」を踏まえて協力関係を強化し、農作物の流通効率化などを推進するのが狙い。株式取得額は開示していない。
エア・ウォーターは2023年2月から青果物の流通効率化を図るため、青果物卸のベジテック、デリカフーズホールディングスと3社協業を進めてきた。協業を通じた原料調達機能の強化、加工・物流・販売における相互のリソース活用などで安定供給体制の構築や地域農業の振興を目指している。
資本・業務提携により、3社の協業に神明HDが新たに参加。4社の青果取扱量は業界最大規模の年間約90万t(国内青果出荷量の7%)、売上高は合計7000億円と国内最大規模の連合体となる見通し。
エア・ウォーターは米を含む新たな幹線物流の受託や米を活用した加工品ラインアップの強化、神明HDのBtoC販路を活用した商材拡販などで協業を進める。
4社のメンバー(エア・ウォーター提供)
さらに4社連合を通じて、エア・ウォーターは人手不足が深刻化する産地で収穫作業などを機械化して代行するアグリサポート事業を全国へ展開。加工用も含めた全量買い取りにより農業経営の安定化を図るとともに、契約栽培の拡大につなげ、調達力を強化する。
併せて、消費者ニーズを捉えた品目指定の契約栽培を伸ばし、需給のミスマッチ解消による取引価格適正化を目指す。物流面では産業ガスの低温技術を生かした鮮度保持技術に磨きを掛けるとともに、産地における集荷物流や産地から消費地へ届ける幹線物流を中心に、トレーサビリティーに寄与する効率的な物流体制を構築する。
具体的な協業として、
・国内外における4社の契約農家および調達ルートを活用した原料調達
・米・青果、カット野菜・加熱野菜・冷凍野菜など農産加工品の相互販売、ならびに小売・ECチャネル・外食・中食産業を中心とした取引先の開拓・拡大
・4社の物流ネットワークおよび拠点・施設を活用した米・青果流通事業
・鮮度保持・食品加工技術などの共同開発および加工センターの協同運営と新加工センターの設立
・成分分析データを活用した米・青果の付加価値向上およびブランド化
――を想定している。
(藤原秀行)