船舶保全の負荷軽減や危険排除可能に
商船三井と住友重機械工業は4月2日、商船三井傘下で船舶管理などを手掛けるエム・オー・エル・シップマネージメント(MOLSHIP)とともに開発した鉄鋼壁面走行ロボットが船舶の点検業務を目的とした実証試験で日本海事協会(ClassNK)の審査を受け、革新的な取り組みを評価する「Innovation Endorsement認証」を取得したと発表した。
日本海事協会の立ち合いの下、船倉(貨物を積み保管する空間)内でロボットの実証試験を行い、船倉の隅・角・段差の乗り越え、壁面点検画像の取得、板厚の計測に成功した。
Innovation Endorsement認証ロゴ
鉄鋼壁面走行ロボット
ロボットは垂直壁の走行に加えて曲面や凹凸にも対応。人やロボットのアクセスが困難だった高所に移動、当該部分の鮮明な写真撮影、点検を行うのに加えて、オペレーターの遠隔操作で鉄板の板厚計測も可能。測定精度は0.01mm単位と高性能を備えている。
高所作業を人間に代わって担えるため危険を解消できる上、足場設置などが不要になり、労務費や足場設置費用などを抑えられると見込む。さらに、閉所空間の作業も対応、船員の酸欠などのリスクを排除できると想定している。
こうした点が評価され、先進的な取り組みを適用した製品・システムなどが対象の「製品・ソリューション」カテゴリーでInnovation Endorsement認証を獲得した。
実証試験の成功を受け、3社は連携してロボット性能・機能の向上やロボットで得られる詳細なデータを利用したDX促進を図る。
(藤原秀行)※いずれも商船三井と住友重機械工業提供