自動倉庫システムのオートストア、日本で25年以降に冷凍領域向けソリューション提供目指す

自動倉庫システムのオートストア、日本で25年以降に冷凍領域向けソリューション提供目指す

事業戦略の説明会開催、「2024年問題」にも対応可能と強調

自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」を手掛けるノルウェーのAutoStore(オートストア)のデイビッド・クリア・バイスプレジデント兼グローバルアカウントマネージャーと、日本法人AutoStore System(オートストアシステム)の安高真之マネージングディレクター(社長)は4月16日、東京都内のAutoStore Systemオフィスで事業戦略などに関する記者説明会を開催した。

クリア氏は1996年の創業以来、これまでに世界54カ国で1400システムを提供してきたと成果を強調。欧米でも顕在化している労働力不足や人件費上昇など多くの課題を自動倉庫システムの採用で克服できると自信を見せた。

安高氏は日本でも庫内作業スタッフの人手不足が顕在化している上、新型コロナウイルス禍を経て長時間労働を避ける潮流が出てきていることなどもあって、倉庫内の作業自動化の需要が高まっていると指摘。物流業や製造業へ引き続き積極的にオートストアのシステム利用を働き掛けていく意向を示した。

また、新たな取り組みとして、冷凍倉庫需要が増えているのを踏まえ、2025年以降、冷凍倉庫に対応した自動倉庫システムのソリューションを展開していきたいとの考えを明らかにした。

説明会には、オートストアとパートナー契約を結び、日本で自動倉庫システムの販売を担っているオカムラから飯寺亮介物流システム事業本部マーケティング部事業戦略室長も参加。「2024年問題」で求められている物流拠点の入出荷迅速化と荷待ち時間短縮に対応できる点を広くアピールしていく姿勢を見せた。


説明会後、オートストアのデモ機をバックにして撮影に応じる(左から)飯寺氏、安高氏、クリア氏

クリア氏は、グローバルで見た場合、物流拠点内の業務で自動化されているのはまだ全体の20%にとどまっており「まだまだ市場としては若く、成長の余地がある」と指摘。「信頼性のあるシステムを稼働し続けることが求められている」と語り、オートストアの自動倉庫システムが今後もグローバルで選ばれることに期待をのぞかせた。

安高氏は「10年前に比べて売り上げが10倍くらいに増えている」と語り、欧米でオートストアの需要が好調と言及。欧米の状況として人件費が上昇、設備投資の回収に要する期間が1~3年に短縮してきたため自動化・省人化・ロボット導入が加速したと分析し、1時間当たりのピッキング量が1万行を超えるような大型の導入案件も増えていると説明した。


急速充電を可能にするなど性能を高めたロボット「R5 Pro」

旺盛な自動化・省人化のニーズに対応するため、倉庫内で製品を収めたコンテナを出し入れするロボットの性能を高め、急速充電を可能にして必要なロボットの台数を減らすなど、「24時間・365日」のオペレーションにも対応できるようにしていることを紹介した。

日本でも人件費の上昇が続いているのに加え、コロナ禍以降、必ずしも「週5日・8時間」の勤務にこだわらない倉庫作業スタッフの数が増え、荷主企業や物流事業者がオペレーションを続ける上でシフトのやりくりに苦慮していることに言及。こうした状況にオートストアとしてより積極的に対応していく姿勢を見せた。具体的には、既に格納効率の良さは認知されているとみて、入出荷のスピードや大規模な倉庫スペースへの対応を訴求していきたいとの考えを述べた。

冷凍ソリューションについては「日本ではまだ何も決まっていない」と明かした上で、ノルウェーでは1号案件が進行中で、日本でも実証実験的な導入を続けて性能を上げていく構想を語った。

(藤原秀行)

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