三菱総研・大木主席研究員が議論の進展に期待
三菱総合研究所は5月22日、「空飛ぶクルマ」の開発動向などに関する記者説明会を東京都内の同社内で開催した。
モビリティ・通信事業本部 次世代テクノロジーグループリーダーの大木孝主席研究員は、 普及に向けたポイントとして、自治体の都市計画の中で空飛ぶクルマの着陸場所などをどのように位置付けていくのか検討することが重要と指摘。鉄道やバスなど地域公共交通機関といかにうまく連携させていくかという点も重視すべきだと解説した。
また、災害時の物資輸送などでの活用について、自治体が関心を持ち始めていると説明。「新しい状況として位置付けられてきている」と述べ、今後官民で利用促進のための議論が本格的に進むことに期待を示した。
大木氏
空飛ぶクルマは2025年の大阪・関西万博で国内外の来場者向けにお披露目することを目指し、国内メーカーなどが開発を急いでいる。離着陸のための長い滑走路を設ける必要がなく、ヘリコプターより騒音が小さいことなどから、身近な場所で使える空の移動手段として期待が高まっている。
大木氏は、物流用途への活用に関し「遠隔操縦に必要なルールの整備に至っていない。政府は万博向けの制度整備に注力している。まだ最終的な結論に至っておらず、今後も議論が続いていく状況」と解説。同時に「災害対応・救急医療などでの活用に関心がある自治体も少なくない」との見方を示した。
災害現場での運用については「ヘリコプターが優先になるのが原則で、空飛ぶクルマとしては制約になる。そこに対する1つの解決策がUTM(運航管理システム)だろう」と分析。同一空域内でもヘリコプターと空飛ぶクルマが協働できる環境整備の可能性に言及した。
中国EHang(イーハン)製空飛ぶクルマ
(藤原秀行)