三菱重工グループ、中小型配送車両向け電動式輸送用冷凍ユニットを欧州で発売

三菱重工グループ、中小型配送車両向け電動式輸送用冷凍ユニットを欧州で発売

ドライバーは冷凍機操作せず運転・配送に集中可能

三菱重工業グループの三菱重工サーマルシステムズは6月6日、中小型トラックなどに搭載可能な薄型の電動式輸送用冷凍ユニット「TEKシリーズ」を、欧州販売会社のドイツMitsubishi Heavy Industries Thermal Transport Europe(MTTE)を通じて販売を開始したと発表した。

2019年度省エネ大賞「資源エネルギー庁長官賞」と21年度日本冷凍空調学会「技術賞」を受賞した「TE20・30シリーズ」の搭載可能範囲を中小型の配送車両などにも拡大するため、小型化すると同時に冷凍能力・加温能力向上を実現した。

TEKシリーズでは、TE20・30シリーズでも高く評価されているプラグインハイブリッドシステムを採用。商用電源(プラグイン電源)と冷凍機専用発電機を併用することで、走行・停止など車両の状態に合わせ、プラグイン充電、走行充電とバッテリー運転の自動切り替えを可能にしている。

また、冷凍機のバッテリー残量や庫内温度に応じて3つのモード(パワーセーブ、高効率、ハイパワー)に自動で切り替わる。車両の駐停車中やアイドリングストップ中にも冷凍機の運転が続けられるため、配送ドライバーは冷凍機の操作を行うことなく運転・配送に集中できるようになり、食品や薬品の輸送で求められる高い水準で庫内温度を維持・管理することが可能になると見込む。

エバポレーター※3には新型ファンを採用し、風量と冷凍能力向上を実現するとともに、吹き出し口を最適化したことで、より短時間での目的温度の達成と庫内全体の温度維持を実現。マルチシステムも採用しており、サイズの異なる3種類のエバポレーターを、仕切りのある荷室内に設置し、荷物の量や中身に応じた適切な温度を複数設定できるようにしている。

欧州の低外気地域における加温能力強化に対する要望には、回路変更により圧力維持機能を見直すことで対応。マイナス20℃の環境下での加温能力は「TE20・30シリーズ」と比べて約1.5倍向上させている。

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大以降、欧州ではスーパーマーケットなどによるホームデリバリーや薬品の安全輸送という観点から、市内配送に最適な中小型トラックでの定温輸送に対するニーズが高まっている。TEKシリーズは、冷凍機の搭載スペースが少ない各車両に積載可能なコンパクト性・汎用性を実現、よりコンパクトな冷凍機を求める欧州の市場ニーズに対応する。


電動式輸送用冷凍ユニット「TEKシリーズ」


電動式輸送用冷凍ユニット「TEKシリーズ」(いずれも三菱重工サーマルシステムズ提供)

(藤原秀行)

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