化学業界の共同物流実現へ関東・東海地区で実証実験

化学業界の共同物流実現へ関東・東海地区で実証実験

千葉・市原と三重・四日市を中継拠点に、データのフォーマット共通化で情報可視化も

経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」で化学メーカーなどが参加している作業部会「化学品ワーキンググループ」は6月11日、関東・東海地区で共同物流実現に向けた実証実験を、今年9~12月の間、千葉県市原市と三重県四日市市を中継地点として実施すると発表した。

実証実験は輸送数量の多い関東・東海地区でデジタル技術を用いて、トラック・貨物の動態情報を共通のデータフォーマットに集積し、積載率、稼働台数、混載率などを可視化することで、最適な輸送に向けた共同物流のための基盤構築を図る。

将来は関東・東海地区における共同物流の実現と日本全国に展開可能な輸送モデルの構築を目指す。


共同輸送モデルの一例(ケース A:四日市-市原-東北)

化学品の物流は貨物の物性・梱包形態・重量などの特殊性により、輸送方法・条件が多岐にわたり、お互いが発荷主・着荷主の関係性を備えているため、個社単位での課題解決には限界があった。

これまでのメーカー主導による共同輸送でも、各社が保有するデータフォーマットが異なるため、分析が難しく実現は困難だった。

そこで化学品ワーキンググループ事務局4社(三菱ケミカルグループ、三井化学、東ソー、東レ)の輸送データを基に、共同物流に向けた実証実験に踏み切ることにした。

実証実験の概要
①事務局4社の輸送について、ケースA(四日市~市原~東北)、ケースB(北陸~名古屋)の2つのモデルを設定、片道輸送の集約など共同輸送を開始し、トラックドライバーに貸与したスマートフォンタイプの端末から、トラック・貨物の動態データを収集する

②デジタル技術と「物流情報標準ガイドライン」も活用しながら、データを共通のフォーマットで収集した上で、積載率、稼働台数、混載率などを可視化し、分析する。

③分析結果を踏まえ、物流会社の協力を得て、最適な輸送に向けた共同物流のためのプラットフォームの在り方を検討する。

デジタル技術導入や標準化手法について、経験を有するベンダーから支援を受けるほか、政府の助成金も一部活用する計画で、2025年1月をめどに検証内容を化学品ワーキンググループで報告する予定。

今回収集したデータは共同物流にとどまらず、平行して検討している荷待ち・荷役時間の削減など、政府のガイドラインに示された荷主事業者で実施が必要な13項目を中心に、鉄道や海上輸送などへのモーダルシフト、幹線やエリア集荷・配送などの物流協力、資機材・コードの標準化やペーパーレスなど物流デジタル化に活用する計画。

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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