国交省検討委が対策の中間取りまとめ、誤進入防止装置の設置拡充も
国土交通省は6月24日、1月に羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)機と海上保安庁の機体が衝突・炎上した事故を受け、有識者らが抜本的な再発防止策を協議する検討委員会の会合を開催した。
国交省が議論の中間取りまとめを提案、委員らが了承した。
中間取りまとめは、空港の管制官の負荷が増大していると指摘。ヒューマンエラーのリスクを回避するため、航空保安大学校の採用枠拡大や中途採用促進などを通じて主要空港で増員や欠員解消を図るよう求めた。
また、管制官の業務分担を見直し、離着陸の許可を出す滑走路担当の管制官らの間で連絡業務を担う「離着陸調整担当」を、羽田や新千歳、成田、関西など国内の主要8空港に新設、特定の管制官に負荷が集中しないようにすることを検討するよう提唱した。
国交省は今後、中間取りまとめの内容を踏まえ、対策を順次講じる予定。
中間取りまとめは、管制官の就業環境改善に向け、より精緻な疲労管理を行うよう要望。管制官の疲労回復や心身の健康維持を後押しするため、管制室や休憩室などの職場環境の改善のほか、事故などが起きた際も含めたストレスケア体制拡充が重要と強調している。
加えて、自家用機を含む全てのパイロットに対し、別のパイロットや管制官らと適正にコミュニケーションを取ることができようにする手法「CRM(クルー・リソース・マネジメント)」の初期・定期訓練を義務化することを打ち出した。
さらに、航空機や車両が滑走路上にいる場合、滑走路面のランプを点灯させて他の航空機などが誤って進入しないよう注意喚起する装置「滑走路状態表示灯」の設置滑走路を拡充することや、管制官が各機体の位置を把握するために使っているモニターに、異常があった場合に音声で知らせる機能を追加することも盛り込んだ。
2025年度以降は、さらに危険度が高い場合は警報音を発する機能を加える方向性を示した。
このほか、国交省が総合的な「滑走路安全行動計画」を策定し、主要空港に設ける「滑走路安全チーム」が具体的な施策を実行していくことも提示した。
(藤原秀行)