先行きは慎重な見方目立つ、「2024年問題」など影響か
日本銀行が7月1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(今年3月)から5ポイント上昇しプラス29だった。
運輸・郵便業の大企業のDIは3月時点で、2018年12月調査以来、5年3カ月ぶりに20台へ到達しており、2四半期続けて20台をキープした。
中堅企業は前回から7ポイント上昇しプラス15、中小企業も2ポイント上がってプラス7となった。昨年12月調査から3四半期続いて、全ての規模で業況判断DIがプラスを記録した。
DIはコロナ禍による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の水準まで低迷。その後は経済活動の再開を受け、総じて持ち直しの基調が持続している。
ただ、先行きの見方に関しては、大企業がプラス27で6月の結果から2ポイント低下。中堅企業はプラス10で5ポイント低下、中小企業もプラス3で4ポイント低下しており、慎重な見方が目立つ。「2024年問題」などが景況感に影響している可能性がある。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9076社が調査対象で、回答率は99.2%だった。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回調査から2ポイント上がってプラス12となり、2四半期ぶりに景況感が改善。大企業非製造業は1ポイント下がってプラス33だった。
(藤原秀行)