テラドローンと三井海洋開発、海洋プラットフォーム向け検査ドローンを共同で研究開発へ

テラドローンと三井海洋開発、海洋プラットフォーム向け検査ドローンを共同で研究開発へ

検査効率3倍に、作業の省人化後押しも

Terra Drone(テラドローン)と三井海洋開発は7月1日、海洋プラットフォーム(設備)向け検査ドローンの共同研究開発契約を締結したと発表した。両社が2023年11月に締結した覚書に基づき実施する。


(両社提供)

2023年11月以降、テラドローンはブラジルでオペレーションを行うFPSO(Floating Production, Storage & Offloading system、浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)の原油貯蔵タンク内の船体板厚計測業務に対し、テラドローンのドローン技術を採用し、恒常的に使用している。

この結果、作業員による高所作業の低減など、より安全に検査を実施できるようになったという。しかし、過酷な作業環境である海洋設備向けにはドローン検査技術をさらに最適化する必要があり、板厚計測の実施・効率などの課題から、作業員による検査業務を完全にドローンで代替するには至っていない。

特にFPSOなどでは、20年以上にわたり海洋で操業し続けるため、物理的資産(設備やインフラ)が安全かつ効率的に機能し、維持される「アセット・インテグリティ」が重視される。原油貯蔵タンクの定期的な検査は欠かせない一方、定められた乗船人数の中で生産作業と並行して検査作業を行わなければならないことが制約となっている。

海洋設備の省人化は業界の共通した課題の一つとなっており、両社がタッグを組んで解決を図る。

両社は将来、原油貯蔵タンク内での検査作業を完全にドローンで代替することを目指し、現場からのフィードバックを生かした改善点の洗い出しなど技術的な議論を重ね、海洋設備特有の過酷な環境に対応したドローン検査技術を業界に先駆けて開発したい考え。

ドローン検査の技術革新により、短期的には検査効率を現状の3倍にするとともに、検査単価を削減させることを目指す。

各取り組みにより、本契約を通じて開発するドローン検査技術をテラドローンのFPSOのみならず広く業界に浸透させ、海洋プラットフォーム操業における業界の共通課題となっている労働安全環境向上と省人化に貢献することを共通のビジョンとして掲げている。

両社は海洋設備の検査作業における安全性の向上・省人化・効率化を実現し、環境、経済、社会的な観点からサステナブルな海洋プラットフォームの操業を後押しする。

(藤原秀行)

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