横浜港本牧ふ頭で日本郵船のタグボートに
化学大手のレゾナックは7月17日、日本郵船が世界初の商用のアンモニア燃料船として8月下旬に竣工予定のアンモニア燃料タグボート(A-Tug)に、使用済みプラスチックを原料の一部に採用した、環境性能の高い低炭素アンモニアを供給したと発表した。
レゾナックによると、使用済みプラスチック由来のアンモニアを燃料用途で供給するのは世界で初めてという。
Truck to Ship方式による低炭素アンモニア供給
A-Tugへの燃料アンモニア供給は、横浜市港湾局の協力を得て、横浜港本牧ふ頭で同日実施した。
陸上の設備から船舶へ燃料を送り込むTruck to Ship方式での船舶への燃料アンモニアの供給も世界初のケースという。
アンモニアは燃焼してもCO2を出さないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として注目度が国内外で高まっている。A-Tugに供給するアンモニア「ECOANN(エコアン)」は、家庭や企業からごみとして排出される使用済みプラスチックを原料の一部に使用して「プラスチックケミカルリサイクル」で製造している。
レゾナックが製造するアンモニアは、製造過程で化石燃料や化石燃料由来のエネルギーを使わないことで「CO2排出80%強削減」を実現している。
また同社の川崎事業所(川崎市)は2003年から使用済みプラスチックを水素やアンモニアなどの化学品原料にリサイクルする「プラスチックケミカルリサイクル」を展開。使用済みプラスチックを原料に、高温でガス化し分子レベルまで分解して水素とCO2を取り出している。定常運転中に化石燃料を全く使わず、取り出した水素の一部は近隣プラントで化学原料向けや水素ステーションで燃料電池自動車向けに使われている。
その他は主にアンモニアの原料になり合成繊維、合成樹脂、化学肥料、薬品などに使われている。一方のCO2は大気中に放出することなくグループ会社でドライアイスや炭酸飲料、医療用炭酸ガス向けの原料などに活用されている。
川崎プラスチックリサイクル(KPR)プラント(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)