機器販売やソリューション提供に注力
住友商事は7月19日、米国のユニコーン企業Dexterity(デクステリティ)と、物流業界など向けにAIを活用したロボットの販売や作業自動化ソリューションの提供を手掛ける合弁会社「Dexterity-SC Japan」を今年6月に設立したと発表した。
「2024年問題」への対応で物流現場の荷積み・荷役時間短縮などが強く求められている中、物流業界の自動化需要に対応するのが狙い。
荷積みロボット
デクステリティは2017年発足。米国の大手物流企業向けを中心にロボット提供の実績を積み重ね、21年10月には約14億ドル(約2100億円)の評価額を達成、ユニコーン企業になった。
住友商事は米国のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「Presidio Ventures」(プレシディオ・ベンチャーズ)を通じて20年にデクステリティへ出資。22年には日本向けの総代理店契約を締結した。23年12月からはSGホールディングスと傘下の佐川急便を含めた4社で「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクトを立ち上げ、早期の実用化を目指している。
デクステリティは既存のハードウェアに組み合わせる独自のAI、コンピュータビジョン、制御技術を開発。その技術は従来のロボットに比べて、高速動作や協調動作、複雑動作を可能にし、人的作業でしか実現できなかった工程の自動化を実現すると注目されている。同社独自の技術として、トラックやコンテナ向けの荷積み作業を自動化するソリューションがある。
デクステリティのソフトウェアを本格的に販売していく上で、日本におけるサポート体制の構築、日米の顧客や施設の違いによるカスタマイズへの迅速な対応など、販売代理店の枠を超えた取り組みを行うため、共同出資による合弁会社設立に踏み切った。
デクステリティが持つ技術力と米国における販売実績、住友商事が有する国内の顧客ネットワークやグループの三井住友ファイナンス&リースと連携したファイナンス機能などを活かし、物流業界の自動化を支援していく構え。
合弁会社は日本国内におけるデクステリティの自動化ソリューション販売を軸に据えて事業を展開。グループ会社を含めた住友商事の物流拠点とも連携する。住友商事はロボットを従量課金制で提供するRobotics as a Service(RaaS)事業を通じて、国内の物流業界の効率化・高度化を後押しする。
合弁事業の調印式に臨む(左から)プレシディオ・ベンチャーズ投資部門のマスード・ピルザダCEO(最高経営責任者)、住友商事の野中紀彦取締役専務執行役員自動車グループCEO、デクステリティのサミール・メノンCEO(いずれもプレスリリースより引用)
合弁会社概要
社名:Dexterity-SC Japan
本社:東京都千代田区大手町1丁目6-1 大手町ビルヂング6階
代表:尾山 昌太郎
設立:2024年6月
事業内容:AIロボティクスによるソリューションの提供とロボットの販売
(藤原秀行)