双日、米国の貨車リペア事業会社を買収

双日、米国の貨車リペア事業会社を買収

北米で基盤拡大図る

双日は8月5日、100%子会社の双日米国会社を通じて、米国で貨物鉄道用の貨車リペア事業を手掛けるWashamerica(ウォッシュアメリカ、ブランド名BW Services、「BWS」)の全株式を取得、買収したと発表した。

双日は既にカナダで貨車リペア事業を展開しており、今回のBWS買収で事業のネットワークを米国南部へ拡大する狙いがある。具体的な買収額は開示していない。

同事業は貨車の機能性・安全性の維持を目的に実施する修理作業や法定車検(10年ごとの実施が義務づけられる)を担っている。BWSは1967年創業。BW Servicesブランドを掲げ、米国石油メジャーを主な顧客として、タンク貨車のリペアや法定車検の提供を中核事業に据えている。

米国で路線長が最大のテキサス州で北米最大手の貨物鉄道会社Union Pacific(ユニオン・パシフィック)の巨大ターミナルに隣接して工場を構え、短納期と高いサービス品質で顧客基盤を確立、事業は成長を続けている。


BWSの工場(双日提供)

北米は世界最大の貨物鉄道市場で、鉄道による貨物輸送は米国全体の約2割を占めるなど、経済・社会を支える重要な物流インフラとなっている。

貨車全体の約3割(44万両)を占めるタンク貨車は、LP(液化石油)ガスなどの可燃性物質や化学品などの輸送に使い、中長期的に輸送量の伸びが見込まれている。また、鉄道は輸送単位当たりのCO2が自動車の約10分の1で脱炭素社会の実現に貢献する輸送手段とみなされ、今後も貨物輸送量の増加に伴い市場拡大が期待されている。

双日は鉄道車両の取り扱いで前身を含めて60年以上の歴史を持ち、北米鉄道事業を注力分野の1つに位置付けている。2015年に鉄道車両の総合メンテナンス事業をカナダ東部で運営する Cad Railway Industries(キャド・レイルウェー・インダストリーズ)に出資、日本企業として初めて同事業に参画した。

17年にはカナダ西部で貨車リペア事業を運営するCaltrax(カルトラックス)の全株式を取得、事業エリアを拡大した。21年には、やはり米国のSouthwest Rail Industries(サウスウェスト・レール・インダストリーズ)の全株式を取得、貨車リース事業にも参入するなど、北米で鉄道事業の拡大を図っている。

今後も北米で貨車リペア事業やリース事業とのグループシナジーを追求する。

BWSの概要

会社名

Washamerica Inc.

設立

1967年

代表者

Billy White

所在地

米国 テキサス州 アングルトン

主な事業内容 

米国石油メジャーを主な顧客として、タンク貨車のリペアサービスを提供

(藤原秀行)

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