商船三井が世界初、風力推進補助装置を既存ケープサイズバルカーに搭載

商船三井が世界初、風力推進補助装置を既存ケープサイズバルカーに搭載

ブラジルの資源大手ヴァーレ向け輸送に投入、燃料消費や温室効果ガス排出を6~10%削減見込む

商船三井とブラジルの資源大手Vale International(ヴァーレ)は8月20日、ヴァーレ向けの鉄鉱石輸送を手掛けている既存の20万トン級ばら積み船に、フィンランドのNorsepower(ノースパワー)製の高さ35m、直径5mの風力推進補助装置「ローターセイル」2基を搭載したと発表した。

搭載する方針自体は昨年3月に公表済み。


ローターセイルを搭載した「Camellia Dream」(商船三井提供)

商船三井によれば、ケープサイズバルカー(10万~22万載貨重量トン級のばら積み船)にローターセイルを搭載するのは世界で初めてという。同船はローターセイルと航海最適化システムを併用することで、燃料消費量と温室効果ガス排出量を1航海平均で約6~10%削減できる見通し。

商船三井は「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」で目標に掲げている2050年までのネットゼロ・エミッション達成に向け、5つのアクションの1つに風力推進補助装置の搭載を含めた「さらなる省エネ技術の導入」を設定。ローターセイル、ウインドチャレンジャーといった風力推進技術を搭載した環境対応船隊の安全な管理・効率運航を通じ、自社グループからの温室効果ガス排出削減に加え、社会全体の低・脱炭素化への貢献を図っている。

ヴァーレは国際海事機関(IMO)が掲げた国際海運における脱炭素化目標達成への支援を強化しており、温室効果ガス排出削減に関するパリ協定の理念に沿ってサプライチェーン排出量「Scope3」についても、35年までに15%削減することを目指している。

また温室効果ガス排出削減に向けた先進技術の採用と最新の鋭船対応に焦点を当て、船主とともに環境対策を推進。その一環として、18年以降に40万t型(第二世代)や32.5万t型の超大型鉱石専用船を起用しながら、ローターセイルや次世代の脱炭素燃料など、様々な省エネ技術を積極的に導入している。

(藤原秀行)

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