80%取得し買収完了目指す
米投資ファンドKKR傘下のロジスティードは8月21日、アルプスアルパイン子会社のアルプス物流へのTOB(株式公開買い付け)を8月22日に開始すると発表した。ロジスティード子会社が実際のTOBを担う。
KKRとロジスティードが5月、アルプス物流買収を発表した際、8月中旬をめどにTOBを実施する方針と説明していた。
期間は10月4日までで、5月に公表した方針通り、1株当たり5774円で買い付ける。想定している全株を取得した場合、買い付け額は約1050億円となる見通し。
アルプス物流は8月21日、TOBに賛同するとともに株主へTOB応募を推奨すると発表した。
現在、アルプスアルパインはアルプス物流株式の46.6%を保有している。残りはTDKなどが所有している。
ロジスティードはTOBで、まずアルプスアルパイン以外の株主から株式を譲り受け、東京証券取引所プライム市場に上場しているアルプス物流の株式を非公開化。その後、アルプスアルパインから自己株式を取得するなどして、アルプス物流の株主をロジスティードとアルプスアルパインの2社のみにする。
ロジスティードは最終的にアルプス物流株式の80%取得を目指す。残る20%はアルプスアルパインが継続して保有する予定。
KKRは2023年、当時の日立物流を買収、ロジスティードに社名変更した。ロジスティードは海外展開の拡大などを図っており、新たにアルプス物流をグループに取り込み、電子部品など多様な荷物を取り扱えるようにして事業の成長を持続、将来の株式再上場につなげていくことを想定している。
ロジスティードの2023年3月期の連結営業収益(売上高に相当)は8143億円、アルプス物流の連結売上高は1211億円だった。買収が成立すると、ロジスティードの連結営業収益は単純合算で9000億円を超え、2030年までが対象の中長期ビジョンで打ち出している目標の1兆5000億円達成に近づく。
(藤原秀行)