夏場でも温度下げ、輸送・保管のリスク大きく軽減
SPACECOOL(スペースクール、東京都港区虎ノ門)は9月4日、開発・販売する放射冷却素材「SPACECOOL」が、日新が手掛けるリチウムイオン電池の静脈物流ソリューション「LiBerthリバース」に採用されたと発表した。
電気自動車(EV)や産業用・家庭用蓄電池に使用されるリチウムイオン電池は、年々需要が高まっている一方、衝撃による内部損傷や過熱により発火のリスクが高まるため、慎重な扱いが求められる。特に使用済みリチウムイオン電池は、その電池の変遷が外見からは分からない場合もあり、発火事故に発展する危険性もある。
日本国内では慢性的に危険品倉庫が不足しており、今後ますます増加する使用済みリチウムイオン電池の受け入れは万全とは言い難い状況のため、日新はリチウムイオン電池の特徴や状態に応じた安全かつ効率的な物流機能が必要と考え、使用済みリチウムイオン電池も安全に輸送・保管できるよう「LiBerthリバース」を開発した。
「LiBerthリバース」のイメージ図
放射冷却素材「SPACECOOL」は直射日光下で宇宙に熱を逃がすことで、ゼロエネルギーで外気温より温度低下させることができる新素材。リバースが提供するコンテナ型のリチウムイオン電池専用容器「LiBコンテナ」(20ft、40ftの2種類)の遮熱対策として活用することが決まった。
SPACECOOLを施工したLiBコンテナ(左が20ftコンテナ、右が40ftコンテナ)
LiBコンテナ(20ft)の表面に本素材を施工した実証試験では、コンテナが備えている厚い断熱構造と合わせても、夏場でも内部温度を目標の35℃以下に保つことができたという。コンテナに施工することで、リチウムイオン電池の輸送・保管のリスクを大きく軽減できると見込む。
計測日時 | 7月23日 |
計測場所 | 栃木県宇都宮市近郊 |
天 候 | 晴一時曇 |
最高気温 | 36.6℃ |
最低気温 | 24.4℃ |
計測箇所 | コンテナ内部上部空間 ※空調不使用/常温で計測 |
断熱材の厚み | 天面90mm、壁面最大86mm |
左が未施工コンテナ 右がSPACECOOL施工コンテナ
SPACECOOL施工のコンテナは未施工と比較し、それぞれ断熱材構造の筐体にも関わらず、 最大4℃の温度低下を確認。コンテナ内目標温度である35℃以下を常に保つこともできた
日新が国際物流総合展にSPACECOOLを施工したLiBコンテナを出展する予定。
SPACECOOLの概念図
SPACECOOLの冷却性能
(藤原秀行)※いずれもSPACECOOL提供