将来宇宙輸送システムと荏原製作所、ロケットエンジン開発で包括連携協定を締結

将来宇宙輸送システムと荏原製作所、ロケットエンジン開発で包括連携協定を締結

電動ポンプ活用、保全性や扱いやすさの向上図る

宇宙往還が可能な輸送システムの実現に取り組む将来宇宙輸送システム(ISC)と荏原製作所は9月27日、包括連携協定を8月21日付で締結したと発表した。同社が手掛ける電動ポンプを用いたロケットエンジンの共同開発に両社で取り組む。

荏原製作所は2000年代初頭以降、回転機械技術を活用してJAXA(宇宙航空研究開発機構)のエンジン用ターボポンプ改良を支援してきた。同社は蓄積してきた知見を活かし、宇宙への輸送手段の低コスト化に向け、ロケットエンジン用ポンプの開発を進めている。

このポンプは駆動機に電動モーターを採用しており、ロケットエンジンの性能を高めるためには燃焼剤や酸化剤を昇圧するためのターボポンプが必要だが、電気駆動とすることで保全性や扱いやすさが向上、再使用型ロケットと非常に相性の良いロケットシステムを構築できると見込む。


(両社提供)

特に再使用型のロケットシステムを検討する上で、着陸時の推力調整機能や繰り返し使用に耐えられるメンテナンス性が大きな課題だが、電動ポンプはこうした点に対応できる技術として期待されている。海外では電動ポンプを用いたロケットシステムが商業利用されており、ISCは荏原製作所とタッグを組むことで、日本でも早期に実現したい考え。

両社の連携により、ロケットエンジンの地上燃焼試験を行い、2028年3月までに地球周回軌道に人工衛星を投入する技術実証を行うことが可能なレベルまで技術力を高めていくことを目指す。

(藤原秀行)

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