将来の小惑星採掘へ技術実証図る
月面へ物資を輸送する「ペイロードサービス」の商用化を目指しているispace(アイスペース)は10月9日、英ロンドンに拠点を置く宇宙ロボット企業のAsteroid Mining Corporation(アステロイド・マイニング・コーポレーション、AMC)と将来の月面ミッションにおける探査ロボットの技術実証と月探査の実施に向けた月輸送サービスの提供に関する覚書を締結したと発表した。
ispaceの月着陸船がAMCの宇宙ロボット「Space Capable Asteroid Robotic – Explorer(SCAR-E)」を月面に送り届けるというミッション構想を掲げ、そのための協力することで合意した。AMCの将来の小惑星採掘に向けた技術実証を目的としている。
©Asteroid Mining Corporation(ispace提供)
ispaceは最速で今年12月に2度目の月面輸送ミッションとしてRESILIENCEランダー(月着陸船)を打ち上げる予定。その後も米国と日本の法人主導で、新たに2種類のランダー開発を進めている。
今後のミッション計画が合意に至り、資金が確保できればSCAR-Eロボットはispaceの将来のミッションに搭載する計画。
SCAR-Eは放射線、打ち上げ時の高加速、宇宙空間の極端な温度への耐性など宇宙環境に適応した設計を採用しており、SCAR-Eの地表をつかみながら歩行する特徴は微小重力環境下での対象を絞ったサンプリングと操作を可能にすると想定している。
ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてきた。2024年冬に日本法人が主導するミッション2、続いて26年には米国法人が主導するミッション3を順次実行していくことを想定している。
27年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション6を予定している。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供していく考え。
(藤原秀行)