35年実用化目標、脱炭素化への貢献目指す
東芝と欧州の航空機大手エアバスは10月16日、水素を燃料とする次世代の航空機開発に向け、超電導モーター技術を共同研究すると発表した。
エアバス子会社のエアバス・アップネクストと東芝グループの東芝エネルギーシステムズ(ESS)が参加。航空領域の脱炭素化への貢献を図る。2035年の実用化を目標とする。
超電導技術はマイナス253°Cの液体水素を燃料として使用し、電気推進システムを効率的に冷却できる。超電導モーターを実用化すれば、高出力でもモーター自体が発熱せず、効率的に飛行できるとみている。
東芝とエアバスは共同研究で、中距離の航空輸送に適しているとみられる2MWの超電導モーター開発を目指す。
エアバスはこれまで10年以上、超電導技術のリスク低減を進めてきた。エアバス・アップネクストは2MW級の超電導電気推進システムの実証機「クライオプロップ」の開発を発表。一方、東芝ESSは半世紀近くにわたって超電導技術の開発と製品適用に取り組んできており、2022年6月にはモビリティ業界に適した2MW級の超電導モーターの試作機を公表している。
両社の共同研究は、エアバスが今年5月に日本で開設を発表した研究開発拠点「テックハブ・ジャパン」のプロジェクトの一環で、初の外部とのパートナーシップとなる。テックハブ・ジャパンは、航空宇宙分野における研究開発およびイノベーションを促進するパートナーシップを日本で構築し、次世代航空機の開発に向けた技術革新を推進する。
(藤原秀行)