航空会社などと協議、具体例列挙し「毅然と対応」明記
成田国際空港株式会社(NAA)の田村明比古社長は10月28日、東京都内で定例の記者会見を行い、同空港として、顧客が行う著しく迷惑な行為(カスタマーハラスメント、カスハラ)に対処する基本方針を策定したと発表した。
同空港で旅行者らに接する機会がある航空会社や空港内店舗、交通機関、清掃会社、警察など関係する29機関で構成している「成田空港CS協議会」で検討、取りまとめた。
基本方針はカスハラに関し「お客様等からのクレームや言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・対応が社会通念に照らし合わせて不相応なものや、応対するスタッフの就労環境を物理的又は心理的に害される行為の全て」と定義。
具体例として、大声で執拗にスタッフを責め立てる、職種による差別や容姿をやすする侮辱的な言動を取る、本来提供すべき水準以上のサービスを要求する、腕をつかむ、殴る蹴る、金品を不当に要求する、わいせつな行為をする、対面や電話、メールで長時間スタッフを拘束するといった行為を列挙している。
対応に関しては「これらに該当するケースには毅然とした態度で臨む」と明記。場合によっては法的措置に踏み切ることも示唆している。
今後、空港関連事業者らの共通の方針として運用する。
田村社長は会見で、空港内の事業者らへのアンケートで、週に数件はカスハラとみられる案件が発生していることが分かったと指摘。「現場のスタッフや事業者から成田空港で統一した方針を出してほしいという声が上がっていた。空港全体としてカスハラの基本方針をまとめたのは日本で初めてだと思う」と意義を強調した。
(藤原秀行)