荷待ち時間を大幅短縮、「データ駆動型の物流効率化」図る
YKK APとHacobuの両社は11月5日、Hacobuのトラック予約受付サービス「MOVO Berth（ムーボ・バース）」を、YKK APが全国に構えている製造・物流30拠点全てに導入したと発表した。
「MOVO Berth」を通じて取得するデータを活用し、荷待ち時間の短縮など「データ駆動型の物流効率化」を図るのが狙い。
（YKK AP提供）
YKK APが扱う窓やドア、エクステリアなどの商品は、形態やサイズ、重量が多岐にわたり、物流オペレーションの効率化は難易度が高いのが実情。
2016年度から配送効率を高める新型輸送パレットの開発に着手。19年度からは国土交通省が推進する「ホワイト物流」運動に賛同し、荷物をパレット単位で効率的に運ぶユニットロード化の推進、トラックの荷台に効率良くパレットを積むための独自システムの開発、「首都圏DC」の新設などを進めてきた。
物流の効率化をさらに加速するため、「MOVO Berth」の活用を決めた。
「MOVO Berth」は2023年11月に導入の検討を始め、今年1月に2拠点への試験導入でスムーズな運用を確認。その後2月に全国への導入を開始し、9月に完了した。協力パートナーへの予約運用を徹底し、今年9月時点で月間の予約数は2万を超え、予約率は96％を記録しているという。
「MOVO Berth」を先行導入した東北製造所は、1台当たりの平均荷待ち時間（出荷のみ）が、導入時点から比較して43％短縮。荷待ち・荷役時間の管理業務は手作業で行っていたが、データ化により月間43.4時間の業務削減を実現した。1人当たりの業務時間（月間160時間）で推定すると、業務時間の27.1%を削減できたとみている。
今後は「MOVO Berth」で蓄積されたデータを活用し、時間帯別の入出荷量分析による人員配置の最適化や、車両滞在時間データを用いた構内レイアウトの改善などを想定している。
併せて、Hacobuが今年8月に立ち上げた「物流ビッグデータラボ」にYKK APも参画し、蓄積した物流ビッグデータを企業間で共有・分析することで、異業種間の共同輸配送検討も進める。
（藤原秀行）
