財務状況改善図る、「親子上場」解消も
三菱重工業が、子会社でフォークリフト大手の三菱ロジスネクストの株式売却を検討していることが分かった。
三菱重工は今年3月末現在、三菱ロジスネクスト株式の約65%を保有している。三菱ロジスネクストは東京証券取引所のスタンダード市場に上場している。
三菱重工は実現すれば国産初となっていたジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発がとん挫、収益が悪化しており、財務状況の改善を迫られている。投資家からは「親子上場」の解消を求める声も出ている。
三菱重工は三菱ロジスネクスト株式を手放し、諸課題の解決を図ることを視野に入れている。三菱ロジスネクストは物流現場の業務効率化が強く叫ばれる中、経営の独立性を高め、フォークリストなどの産業車両事業を成長軌道に乗せることを目指す。
関係筋によると、株式売却に向け、ファイナンシャルアドバイザーを選定しており、国内外の投資ファンドなどが関心を示しているもようだ。
三菱ロジスネクストは2017年、ニチユ三菱フォークリフトとユニキャリアが経営統合して誕生した。24年3月期の連結売上高は7017億円、営業利益は426億円だった。
三菱重工は12月6日、三菱ロジスネクスト売却を報じた日本経済新聞電子版の報道を受け、「本報道の件を含め、当社の事業ポートフォリオについては様々な可能性を検討しているが、現時点で決定した事実はない」とのコメントを発表。
三菱ロジスネクストも同日、「当社は、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する戦略について、本件を含め、様々な可能性を模索しているが、現時点で決定した事実はない」との声明を出した。
(藤原秀行)