EC出荷作業の完全無人化目指す
自動倉庫システム「RENATUS(レナトス)」を手掛ける米国のベンチャーRENATUS ROBOTICS(レナトスロボティクス)は12月9日、親会社のTRUST SMITH(トラストスミス)からAIを用いたロボットアーム制御技術「ADAM SMITH」(アダムスミス)を取得、ロボットによる無人ピッキングシステムの開発に着手したと発表した。
TRUST SMITHは東京大学発で2019年に発足。既に様々な大企業へロボットアーム技術を提供しており、ADAM SMITHも東大のAI研究者らが最先端アルゴリズムを用いて開発した。
RENATUSはEC向け発送センターの全作業量のうち40〜60%を占める「棚から商品を引き出す工程」「商品を荷合わせる工程」を自動化することに成功しているが、棚から引き出された商品を出荷箱へ移す「ピッキング工程」は人による作業にまだ依存している。
ADAM SMITHはピッキング工程を担い、梱包までの出荷作業を完全に無人化することを想定している。RENATUSは2025年までにADAM SMITHの実証実験を終え、米サンフランシスコで建設予定の自社倉庫への導入を進めたい考え。
ADAM SMITHは把持対象を認識するカメラモジュール「GOD VISION」(ゴッドビジョン)と把持対象を把持するアームモジュール「VISIBLE HAND」(ビジブルハンド)で構成。
このうちGOD VISIONは、自動倉庫RENATUSで棚から引き出してきたケースに対して中の商品をAIで認識し、ロボットアームの把持姿勢を提案する。その姿勢に対してVISIBLE HANDがアプローチ経路を生成、ロボットアームはその経路に従って実際に商品をピックし、発送箱内へプレースする。
その後、発送箱は自動梱包機によって梱包、トラックへ積まれて出荷されることを想定している。
RENATUSはADAM SMITHと自動倉庫RENATUSを組み合わせることで、EC向け発送センターの全作業量のうち60〜70%を無人化できると見込む。
(藤原秀行)※RENATUS ROBOTICS提供