キリングループロジ、物流企画・コンサルティングの機能強化へ

キリングループロジ、物流企画・コンサルティングの機能強化へ

25年の事業計画説明、年内にも新組織立ち上げヘルスサイエンスなど対応目指す

キリングループロジスティクス(KGL)は2月19日、東京都内の本社で、2025年の事業計画に関するメディア向けの説明会を開催した。

安藤弘之社長は24年の取り組みを振り返り、DXや海外展開を推進するための組織を立ち上げたことなどに言及。「課題は山積しているが、しっかり対応できるよう2025年も進んでいきたい」との決意を示した。

 
 

3月28日付で安藤氏の後任として社長に就任する予定の小林信弥常務執行役員は「継続性と革新性のバランスを取って事業を進めたい」との意向を表明。「物流2024年問題」への対応として物流拠点での荷待ち時間削減などを促進し、「キリングループの商品をこれからもしっかりと運びきるよう望んでいきたい」と強調した。

また、キリングループ全体としてヘルスサイエンス事業に注力していることを踏まえ、KGLとしても物流面で成長を支えていく姿勢をアピール。この領域を含めてキリングループ全体の物流を改善できるようにするため、物流企画・コンサルティングの新組織を早ければ4月に設置する予定を明らかにした。

小林氏は「実力を高めて物流企画・コンサルティング能力を上げていかないとグループの多様な事業に携われないし、外販のお客様にも認められない。コア事業との二本立てで運営していきたい」と語った。


説明会に臨む安藤氏(右)と小林氏

受注は管轄問わない「エリアフリー」に移行

25年の事業計画は、目指す方向性として「2035年のありたい姿実現に向けて」と明記。トップダウンではなく、全員参加型で計画を取りまとめたと説明している。

2024年問題への対応として、納品先での荷待ち時間短縮、自社構内の荷待ち時間削減のための自動ラック採用、パートナー企業向け運賃・作業料の見直し、550km以上の輸送の100%モーダルシフト実施などを展開してきたと報告。「24年も(キリングループの商品を)『運びきる』ことができた」と総括している。

 
 

25年も輸配送と拠点における保管・出荷の能力をいずれも高めていくため、工場ごとに各エリアへ商品を届ける体制を強化して中長距離の輸送を減らすとともに、自動化・省力化機器の配置による荷待ち・荷役時間の短縮、車両動態管理・予約システムの活用などを進めると設定。

特に同システム採用で自社拠点内の作業を効率化し、政府の改正物流効率化法で定めている目標より1年早い2027年までに、荷待ち・荷役作業時間を100%、2時間以内に短縮する方針を示している。

さらに、全国の4支社がそれぞれ管轄エリアの案件を受注してきた現行体制を改め、全ての支社が管轄エリア内外を問わず、全国の案件を受注する「エリアフリー」に移行、受注データの早期確定と業鵜の標準化・効率化を進めることも公表している。将来は働きやすい環境整備の一環として、受注担当が全国どこにいても業務可能な体制を実現することも視野に入れている。

物流企画コンサルサービスは飲料以外の物流を取り扱う事例として、24年にキリンビールが展開している、自宅に専用サーバーを置き、好きな時間にビールを楽しんでもらう「ホームタップ」の物流効率化を果たした件などを引用。25年はさらに取り組みを強化するため、年内をめどに新組織を設置し、人材育成に注力することなどを計画している。

また、デジタル活用のため、キリングループ全体のSCMをデジタル化する「キリンSCMデジタルプラットフォーム」を構築する方向性を明示。その旗振り役を、KGLの物流DX推進室が務めることも記している。

説明会で小林氏は2024年問題の対応に関し「550km以上の距離の輸送は完全にモーダルシフトしていく方針で進めている。モーダルシフトができない場所については、バウンド輸送を使いリレー方式でつないでいくよう変更してきた。労働力不足は解決しない社会課題なのでしっかりと臨んでいく」と述べた。

 
 

キリンSCMデジタルプラットフォームについては「今、徹底的に効率化・省人化ができないかということでDX推進室を設置してからいろいろなバリューチェーンでのテーマを洗い出して、どんな部分がデジタル化できるかという取り組みをしている。人材も育成していかなくてはいけない」と話した。

(川本真希、藤原秀行)

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