災害時想定、線路上空をドローンでガソリン空輸

災害時想定、線路上空をドローンでガソリン空輸

国際ドローン協会が千葉・東庄町で実証実験

一般社団法人国際ドローン協会は3月3日、千葉県東庄町と組み、災害発生時の物資輸送を想定したドローンの実証実験を2月5日と7日の2日間、同町内で実施したと発表した。

災害時にドローンを使い、迅速かつ安全に物資を輸送できるかどうかをチェックするのが狙い。

 
 


立入管理措置を講じて北総育成園に荷物をおろす様子(国際ドローン協会提供)

実験では、発電機とガソリンを東庄町役場から町内の病院と福祉施設までそれぞれドローンで空輸した。距離は3km前後。機体は中国のDJIの運搬用ドローン「DJI Flycart30」を投入した。

一等無人航空機操縦士2人(目視内限定解除、最大離陸重量25kg未満の限定解除も取得)がオペレーションに携わった。

災害などで陸路が遮断されたケースを念頭に置き、電力供給の要となる発電機と燃料(ガソリン)を安全かつ迅速に届けることを想定して実証実験を行った。

輸送したガソリンで1台の発電機を約20時間稼働することが可能。約4800台のスマートフォンを充電できる電力を確保できるとみている。

東庄町ではこれまでに8種類の物流ドローン空路を構築済みで、町内の全ての避難所、災害物資保管倉庫、東庄町役場を結ぶルートを確立している。大規模災害時でもドローンを駆使し、必要な物資を届けられるようにする。

 
 

ドローンは町内を走る線路上空を安全に横断し、約5分で目的地に到達。飛行高度の維持とルート最適化により、安全性を確保できたという。同協会は、線路の上空を通り物流輸送を行うのは日本でも初めてと説明。「線路の上空を越えて緊急物資輸送を行ったことは災害時や医療物資の緊急輸送を確立したという点で大きな意義がある」と強調している。

発電機とガソリンの物流ドローンによる輸送は、万が一の事故発生時に重大な影響を及ぼすため、危険物の輸送として航空法の規制の対象となっている。今回の実証実験では、安全管理体制を万全に整え、法律上の要件を満たして法律上の許可を取得し、慎重に飛行を実施した。

着陸が困難な状況を想定し、ホバリング状態からウインチを使って物資を安全に降下させる方法を実証した。着陸場所を十分確保できない場所への物資の輸送が可能になったとみている。

東庄町では、買い物が困難な人への日常的な配送にもドローン技術を活用する計画を進めている。同協会も協力していく構え。

(藤原秀行)

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