国交省検討会、インフラ整備方向性の中間取りまとめ素案を提示
国土交通省は6月24日、東京・霞が関の同省内で、「新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」(座長・根本敏則敬愛大教授)の第4回会合を開催した。
事務局の国交省は、トラックドライバー不足に伴い官民で実現を目指しているトラックの隊列走行やダブル連結トラックに関し、安全かつ円滑に運用できる高速道路へ整備していく方向性について議論の中間取りまとめの素案を提示した。
この中で、隊列走行の商業化までの措置として、「新東名道や新名神道を中心に左側レーンを隊列車両の走行車線とすることを念頭にインフラ面の環境整備を進めていくべき」と提案。分合流部で他の一般車両の合流を妨げないよう、LED標識などを用いて隊列走行の接近を知らせることなども盛り込んだ。
一方、商業化を果たした後は、普及状況を踏まえながら片側3車線の区間は右側レーンを隊列走行専用とし、2車線区間も並行する他の路線と役割分担しながら専用走行空間を設けるよう検討することを求めた。
国交省は近く検討会で内容を正式決定した上で中間取りまとめを公表し、2020年予算の概算要求などに反映させていく方向。
中間取りまとめの素案を議論した第4回会合
専用レーンから物流施設へ直接入場可能に
素案は、商業化までの措置の中で、SAやPAで車両が安全に隊列の形成・分離や休憩を行えるようにするため、SA・PA自体の拡張などでスペースを確保するよう提言。隊列形成・分離スペースの整備は、隊列走行に先んじで普及が見込まれるダブル連結トラックにとっても安全性確保の上で有効との見方を示した。さらに有料の駐車場予約システムの導入も提唱した。
商業化後は、専用レーンから隊列の形成・分離用スペースも備えた物流施設や民間施設に直接入ることが可能なスマートICを整備するよう検討の必要があると指摘。
このほか、各物流事業者の隊列車両をマッチングさせるための手法、ルート管理や利用料などの整備も必要性を指摘した。併せて、ビジネスモデルの具体化、隊列車両の故障や事故発生時の対応などの課題解決も不可欠として、関係者で議論を進めることに期待をにじませた。
他にも、隊列走行で車両の安全性検証を目的に関係省庁が連携し、分合流部で安全に合流できるよう、高速道の進入車線に信号機を置いて車の流入量を調整する「ランプメータリング」の検証を進めるなど、諸課題解決に向け実証実験などを展開するよう訴えた。
(藤原秀行)