【現地取材】タイミーとAZ-COM丸和、大規模災害時の物流機能持続で連携協定締結

【現地取材】タイミーとAZ-COM丸和、大規模災害時の物流機能持続で連携協定締結

バイトマッチング利用者に研修実施、復旧・復興支援業務のスキル習得後押し

物流などの単発アルバイトのマッチングアプリを展開しているタイミーとAZ-COM丸和ホールディングスは3月5日、地震などの災害が発生した際に連携して復旧・復興支援に当たることをうたった「大規模災害時における相互協力協定」を同日付で締結したと発表した。

タイミーのアプリを介して短時間のアルバイトなどに就いている利用者に対し、AZ-COM丸和が研修会を主催し、物流拠点で働いている際の復旧・復興支援業務のスキルを習得してもらうほか、実際に災害が起きた場合は研修受講者に対して優先的に支援業務の求人を公開する。



両社がタッグを組み、物流の機能継続のためのインフラとして活動することを念頭に置いている。

両社が同日、東京都内で開催した記者会見で、タイミーの小川嶺代表取締役は「タイミーには1000万人以上のスポットワーカーが登録しており、その中には物流業界の勤務経験者など災害発生時に力を発揮できる可能性のあるワーカーが多数いらっしゃる。一度でも研修を受けることによって、その方たちの意識を変えることもできるのではないか。タイミーのプラットフォームを通じて、そのような方々と支援現場を、円滑かつ迅速に結び付けることで、災害発生時の復旧・復興に貢献できると考えている」と協定の意義を強調。

昨年10月にさいたま市の協力を得て、AZ-COM丸和と同じ趣旨の研修会を開いた際は無償でタイミーの利用者に参加を募集したことに触れ「今後は有償化(時給発生)の検討を含め、各自治体と連携しつつ環境づくりをしていきたい」と述べた。

AZ-COM丸和の和佐見勝社長は「われわれは阪神・淡路大震災の時に初めて救援物資をお届けしたが、大規模災害は想像している以上に救援が重要だ。世の中で困っている人がいればモノを運ぶという仕事をしているわれわれが協力するほかない。タイミーさんのようなワーカーを多く抱えた会社と一緒に進んでいけるのは大変心強い。ともに社会貢献としてのBCP事業に取り組んでいきたい」と述べた。


協定に調印するAZ-COM丸和HD・和佐見社長(左)とタイミー・小川代表取締役


撮影に応じる両社首脳



協定では、主に以下の3点について、相互に連携して取り組むことを盛り込んでいる。

①「大規模災害時の物流等に関する研修会」の開催
・大規模災害発生時の迅速な人材ニーズに対応するため、タイミーのワーカーに対して、平時に「大規模災害時の物流等に関する研修会」(AZ-COM丸和グループ主催)を実施する。

②大規模災害発生時に支援業務を担う人材をタイミーで募集
・AZ-COM丸和グループがタイミーを活用し、研修受講者に対して求人を公開。「1日単位」「履歴書・面接なし」の仕組みを活用し、突発的な雇用ニーズに対して円滑なマッチングを実現する。
・研修未受講者でも対応可能な支援業務に関する募集はタイミーがアプリ内で積極的に当該求人の周知に協力する。

③支援業務の運営に関する共同研究プロジェクト
・研修会の開催を進めるとともに、「研修の効果的な実施方法・内容」、「研修受講者情報の管理方法」、「マッチング方法」、「ワーカーが行う支援業務の内容」などについて共同で研究し、全国各地での取り組み拡大につなげる。

実際に災害時にタイミーワーカーが行う支援業務の内容などは、今後の共同研究で協議していく予定。両社によると、現状ではトラックの入構案内や支援物資の仕分け・整理などを想定しているという。

災害時、自治体の職員のみでは物流業務の知識がないことも多く、現場でAZ-COM丸和グループが主体となり、研修を受けて支援業務のスキル・経験を習得したワーカーに補助してもらいたい考えだ。




(プレスリリースより引用)

AZ-COM丸和HDグループの中核を占める丸和運輸機関と一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワークは全国84の自治体と協定を締結し、被災地への支援物資を輸送する拠点の運営などを担当。

昨年10月開催の「大規模災害時の物流等に関する研修会」では、さいたま市と丸和運輸機関が締結している「大規模災害時における物資の輸送・荷役等に関する協定」に則り、タイミーのサービスを通じてこれまで物流業界で働いたことがあるさいたま市近郊のワーカーを中心に参加者を募集した。研修会当日はタイミーワーカー7人が参加した。

今後、研修会はオンライン・オフラインの両方で開催を予定しており、開催の案内はアプリ内でのお知らせやプッシュ通知によって周知する。

(安藤照乃、藤原秀行)

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